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教採の「受験区分」と新たな「3年次受験」について

最新の『月刊教員養成セミナー』から、教員志望者の方々に役に立つ情報を抜粋してお伝えします。
前回、本コーナーでは、文部科学省の方針により、2024年の教員採用試験の日程が前倒しされる可能性があることをお伝えしました。今回は、やはり文部科学省の方針により、3年次受験ができる自治体が増える可能性があることを、解説していきます。


校種や教科ごとに受験する教採

 教員採用試験には,校種ごとに受験区分があります。例えば,小学校の教師になるには,「小学校」の受験区分で受験します。
 中学校や高校では,さらに教科でも受験区分が分かれています。例えば,中学校の社会の教師になるには「中学・社会」,高校の体育教師なら「高校・保体」を受験します(下記,図参照)。
 ただし,自治体によっては,小中共通や中高共通の採用枠を設けているところがあります。また,教科の分け方が異なる場合もあります。まずは自分が受験する自治体の受験区分を確認しましょう。

教採の受験区分

「特別」の選考区分もある

 教員採用試験には,受験区分のほかに,「選考区分」もあります。大学4年生が普通に受験するのであれば,「一般選考」になりますが,一定期間以上の講師経験や社会人経験があったり,スポーツや芸術で秀でた成績をおさめていたりすると,「特別(特例)選考」での受験が可能となり,試験の一部が免除されたりします。

特別選考に該当する例
教員経験者/臨時的任用教員(講師)経験者/社会人経験者/スポーツ・芸術に秀でた実績者/英語の資格所有者/国際貢献活動経験者/障害者 など

3年次受験ができる自治体が増えてきている

 文部科学省は, 試験の「複数回実施」の方向性を掲げています。これを受け,今後は受験対象を3年生に拡大する自治体も増加すると見込まれます。
 なお,2023 年実施試験でも,すでに3年生で受験できるようにした自治体が8つあります(下記の表参照)。

 自治体   内容
東京都大学3年次に1次試験の教職教養と専門教養が受験可能。一定以上の点数を取った者を「選考通過者」とし,4年次に1次試験の論文を受験。その合格者について2次選考を実施。※2次試験の集団討論を廃止→個人面接のみに。個人面接は十分に能力実証が図れるよう面接内容を充実。
横浜市
(小学校)
「大学3年生チャレンジ推薦特別選考」(小学校)を導入。3年次:書類選考→1次試験を免除→2次試験として個人面接,模擬授業,論文試験を実施(論文試験は1次試験日)→合格発表は2 0 2 3 年1 0 月(内々定)→最終的な内定は2 0 2 4 年4月に3年次の学業成績を審査した上で行う。
川崎市
(小学校)
「大学3 年生選考試験(大学推薦)」(小学校)を導入。。3年次:書類選考→1次試験を免除→2次試験として場面指導,個人面接,論文試験を実施(論文試験は1次試験日)→合格発表は2 0 2 3 年1 0月(内定)。
相模原市「大学3年生等早期チャレンジ」を導入。3年次に1次試験の教職・一般教養が受験可能。
千葉県「ちば夢チャレンジ特別選考」を導入。大学3年次等で教職・一般教養と専門教養を受験し,合格基準に達した者は「ちば夢チャレンジ特別選考通過者」となり,4年次等で実施する2 0 2 4 年実施の1次試験では集団面接のみ受験,合格者は2次試験を受験。
富山県
(小学校)
小学校について,大学3年次に1次試験が受験可能。合格者は,次年度は2次試験から受験。
福井県「大学3年時第1次選考 (仮称)」を導入。3年次に1次試験が受験可能。合格者は,翌年は2次試験から受験する。合格できなくても , 教職・一般教養が基準点に到達していれば, 次年度の1次試験は一部免除で受験可能。
石川県
(小学校)
「小学校」及び「特別支援学校小学部」において,大学3 年次で筆記試験・実技試験の受験を可能とする選考を導入する。大学3 年次で筆記試験と実技試験を受験し,基準に到達した者は,翌年度実施の採用試験では面接試験(模擬授業・個人面接)のみとする。
● 2023年実施試験から3年次受験を可能とした8つの自治体

冬から春に3年生向けの推薦試験を実施するところも

 文部科学省は,試験の複数回実施の一環として,「標準日」に実施する選考とは別に,12 月~3月の時期に大学推薦制度を活用して,3年生向けの試験を実施する方策も掲げています。
 すでに神奈川県が2024 年2月~3月に大学3年生と大学院1年生を対象とした推薦試験,和歌山県が2024 年3月に大学3年生を対象とした推薦試験を実施すると発表(いずれも採用は2025 年度)しており,今後,同じような試験を実施する自治体が増える可能性があります。

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