①教育史は西洋教育史が約6.5割、日本教育史が約3.5割と、例年西洋教育史の割合が多い。
②教育史は、出題しない自治体や、日本教育史を問わないという自治体もあるので、志望自治体の過去5年の出題傾向を把握しておきたい。
ポイント◆1 そもそも出題されてる!? 過去5年間を出題頻度表で確認
福島県、茨城県など全体の約4分の1に当たる15自治体では、教育史の出題がここ5年間に1題もありません。これらの自治体は教員採用試験対策としては「勉強しない」。その見極めも肝心です。
ポイント◆2 出題されやすい時代や人物に的を絞ってピンポイント学習!
日本教育史を空海の時代から、西洋教育史をソクラテスの時代から、といった網羅的な勉強は、出題数が限られている教育史の対策としてはおススメしません。
日本教育史は明治時代、西洋教育史は啓蒙主義、進歩主義教育に出題が集中しています。よく出る時代や人物に的を絞ってピンポイントで学習しましょう。
ポイント◆3 「人物」「業績」「著書」をまとめて整理
日本教育史・西洋教育史ともに「人物由来」の出題が多くを占めます。重要人物の業績、名言(著書の一節であることも)、主要な著書名については一覧表などにまとめ、セットで暗記するのがおススメです。
※「出るとこグラフ」と「出題頻度表」は、ただいま発売中の『教員養成セミナー』2月号に掲載しています。
Challenge! 2024年実施試験|教育史
(※本誌掲載の問題より一部を抜粋。また、掲載の都合上問題の一部を改めている箇所がある)
【日本教育史(明治~昭和)】
問題1.次の各文は、我が国の義務教育の成立に関する記述である。年代の古いものから順に配列して3番目に当たるものを選べ。(北海道・札幌市)
⑴ 「市町村立尋常小学校ニ於テハ授業料ヲ徴収スルコトヲ得ス」として、市町村立尋常小学校は原則無償であることを定めた。
⑵ 「自今以後一般の人民華士族卒農工商及婦女子必ず邑に不学の戸なく家に不学の人なからしめん事を期す」として、身分・階層・性別に関わりなく国民皆学の理想を示した。
⑶ 「保護者は、子女が小学校の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初から、満15才に達した日の属する学年の終りまで、これを、中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校に就学させる義務を負う」として、義務教育の年限を6年から9年に改めた。
⑷ 「父母後見人等ハ其学齢児童ヲシテ普通教育ヲ得セシムルノ義務アルモノトス」として、児童の就学が父母後見人等の「義務」であることを法令上、初めて明記した。
【西洋教育史(人物)】
問題2.19世紀から20世紀前半にかけてアメリカで活躍した教育者・教育学者とその主な功績の組み合わせとして誤っているものを選べ。(高知県)
⑴ キルパトリック(Kilpatrick、William H.):アメリカの教育学者で、学習主体としての子どもがアサインメントを引き受け、自分の学習計画によって自学するという方式の、ドルトン・プランを創案した。
⑵ ウォッシュバーン(Washburne、Carleton W.):アメリカにおける新教育の指導者の一人である。師範学校教師を経てウィネトカ市教育長を務め、画一的一斉教授法を排し、ウィネトカ・プランとして知られる徹底した個別学習の教育法を推進した。
⑶ バーナード(Barnard、Henry):アメリカの教育行政家で、公教育運動を指導した。合衆国初代教育局長を務め、公立・無償学校の設立普及と教員養成の改善を推進した。
⑷ ソーンダイク(Thorndike、 Edward L.):アメリカの心理学者で、学習法則、知能検査、訓練の転移、動機づけ
などの研究で業績を残し、アメリカ教育の能力主義的再編に大きな影響を与えた。
⑸ マン(Mann、Horace):アメリカの教育行政家で、マサチューセッツ州初代教育長に就任し、在職12年間に、公営・無償・中立の公立学校制度を成立させ、公立学校の父と称された。
(解答・解説)
問題1.⑴
➡ ⑵1872年公布の学制→⑷1886年公布の帝国大学令、師範学校令、中学校令、小学校令のいわゆる学校令→⑴1900年の小学校令改正→⑶1947年公布の学校教育法。
問題2.⑴
➡⑴「キルパトリック」ではなく「パーカースト」の説明文。キルパトリックは、子どもが自分の活動を選択し、計画し、方向付けていく問題解決的な学習過程の理論であるプロジェクト・メソッド(プロジェクト学習)を考案した。
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2月号の誌面では、教育史の「出るとこグラフ」と「出題頻度表」、そして全国で2024年実施試験で実際に出題された教育史の問題を掲載しています。ぜひお手にとってご覧ください。