“必出テーマ”の基礎情報②「教育振興基本計画」

「教育振興基本計画」は、教採で最もよく問われる「教育時事」の一つです。受験自治体が策定するものも含め、必ず目を通しておきましょう。
2025年に出題した自治体岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県・市、新潟県、三重県、京都府、奈良県、岡山県、島根県、山口県、高知県、長崎県など
重要ワード持続可能な社会の創り手/ウェルビーイング/Society5.0/課題設定・解決能力/デジタルトランスフォーメーション/VUCA/社会的包摂

「教育振興基本計画」とは

 「教育振興基本計画」とは、国が策定する教育の総合計画です。これまで、約5年おきに策定されており、最新のものは2023〜2027年度の計画を示した「第4期」です。根拠法令は教育基本法の第17条で、下のように示されています。

各自治体の「教育振興基本計画」

 国の計画を受ける形で、約9割の自治体が「教育振興基本計画」を策定しています。教採を実施している都道府県・政令指定都市については、すべての自治体が策定しています。各自治体の「教育振興基本計画」は、教採にもよく出題されるので、目を通しておきましょう。

「2つのコンセプト」と「5つの基本的な方針」

 国の「教育振興基本計画」の中で、教採で特によく問われるのは、以下の「2つのコンセプト」と「5つの基本的な方針」です。空欄補充問題でキーワードを 問われることも多いのでしっかり覚えておきましょう。

「教育振興基本計画」の重要用語

ウェルビーイング

 ウェルビーイングとは、「身体的・精神的・社会的に良い状態にあること」を指し、「教育振興基本計画」においては、「多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられるものとなること」と示されています。また、ウェルビーイングの構成要素として、以下の11項目が示されています。

教育DX

 デジタル化には、右図のように3つの段階があります。DXは「段階3」の「デジタルトランスフォーメーション」のことで、ここを目指すことが「教育振興基本計画」には示されています。また、具体的な施策としては、「GIGAスクール構想」に基づく情報活用能力の育成、校務DXを通じた働き方改革、教師のICT活用指導力の向上、DX人材の育成などが掲げられています。

次の文は、「教育振興基本計画」(2023年6月 閣議決定)の一部である。(   )に入る適語の正しい組み合わせを選べ。(奈良県・一部改題)

グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成 
(社会の持続的な発展に向けて) 
 将来の予測が困難な VUCAと言われる時代の中で、個人と社会のウェルビーイングを実現していくためには、社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成が必要である。グローバル化やデジタルトランスフォーメーションは労働市場に変容をもたらしており、これからの時代の働き手に必要となる能力は変化している。 Alやロボットによる代替が困難である、( ① )や、( ② )が今後一層求められることが予測され、こうした変化に教育も対応していく必要がある。

⑴ ①新しいものを創り出す創造力    ②他者と協働しチームで問題を解決するといった能力
⑵ ①新しいものを創り出す創造力    ②きめ細かく児童生徒を観察し分析するといった能力
⑶ ①多様な考えを整理・分析する力   ②他者と協働しチームで問題を解決するといった能力
⑷ ①多様な考えを整理・分析する力   ②きめ細かく児童生徒を観察し分析するといった能力
⑸ ①過去の事例から未来を予測する能力 ②他者と協働しチームで問題を解決するといった能力
⑹ ①過去の事例から未来を予測する能力 ②きめ細かく児童生徒を観察し分析するといった能力

(解答・解説)⑴ ➡同基本計画「Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針」の(5つの基本的な方針)を参照。


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