不登校の子どもの数は、ここ数年急激に増えています。
学校としてどう向き合うかについては、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
「不登校」の児童生徒はどのくらいいるの?
下のグラフは、小中学校における不登校児童生徒数の推移を表したものです。ここ数年、驚くほど急激に増えていることが分かります。2022年度は全国で実に29万9048人に上り、2013年度との比較では実に約2.5倍も増えた計算になります。特に中学校では全体の5.98%が不登校で、40人学級に換算すると2~3人は不登校の子がいる計算になります。
不登校の数は、いじめの「認知件数」と違い、定義が比較的明確です。そのため、この「約2.5倍増加」という事実には重みがあります。背景にはコロナ禍やいじめの低年齢化などがあると言われています。学校としては大きな問題として捉え、子どもが通いたくなるような学校づくりに取り組んでいくことが求められています。
どのくらい休むと「不登校」になるの?
不登校の定義は、教育機会確保法第2条に下のように記されています。また、この法律を受けて文部科学省令がより詳細な定義を示しています。
教員採用試験ではこの省令の「何らかの心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない又はすることができない状況」の部分がよく問われます。
なお、文部科学省の調査は「30日以上」を不登校としてカウントしています。この数字は、前に解説した「いじめの重大事態」にも関係してくるので、覚えておくようにしましょう。
「不登校」への対応はどのように行われているの?
以前、不登校は「問題行動」の一つと捉えられ、「早期の学校復帰」を目指した対応が行われていました。しかし現在は、「学校に登校する」という結果だけを目指すのではなく、「児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立する」ことを目指すという方向に変わっています。もちろん、だからといって学校が不登校に無関心でよいという話ではなく、さまざまな形で支援や対策が求められています。
「不登校」の子どもの受け入れ先にはどのような所があるの?
不登校の児童生徒は、自宅に居続けている子だけではなく、外部の施設等で学んでいる子もいます。そして、最近ではそうした施設等で学習した場合、一定の条件を満たせば、指導要録上で出席の扱いとなります。学校はこれらの施設とも連携を図りながら、一人一人に必要な支援を講じていくことが求められています。
教育支援センター
市町村の教育委員会が設置する施設で、別名「適応指導教室」とも言います。市町村の公共施設などに置かれていることが多く、学校とは異なる時間割にそって、活動が行われています。
フリースクール
不登校の子が通う民営の学校です。方針や運営形態はさまざまですが、多くの場合、10人以下のスタッフで運営されています。子どもの居場所的な所が多く、時間割や規則なども比較的緩やかです。
学びの多様化学校
2005年に制度化された公的な学校で、以前は「不登校特例校」と呼ばれていました。通常の学校とは異なる教育課程を編成することが認められています。2024年度現在、全国に35校が設置されています。
夜間中学
元々は戦前・戦中に学校に通えなかった人たちのために開設されましたが、現在は不登校の受け入れ先にもなっています。多くの場合、中学校に併設されていて、正式名称は「中学校夜間学級」です。
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