①教育原理で最も出題が多い領域は平成29・30年版学習指導要領。全体の約4割を占める。
②平成29・30年版学習指導要領では「総則」の出題が圧倒的に多く、対策は必須。「総則」以外では「総合的な学習(探究)の時間」「特別活動」の出題が目立つ。
③教育原理で2番目に出題が多い領域は生徒指導。2022年12月に全面改訂が行われた『生徒指導提要』は多数自治体で出題。特に「第Ⅰ部」「第1章 生徒指導の基礎」からの出題が多い。
④特別支援教育は、教育原理だけでなく教育法規・教育時事でも問われる。関連法規や関連資料は必ずチェックしておこう。
ポイント◆1 学習指導要領の出題No.1は「第4 児童(生徒)の発達の支援」
学習指導要領は約10年に一度改訂され、現行の学習指導要領は小学校、中学校が2017年、高等学校が2018年、特別支援学校が2019年に告示されました。
例年、教育原理の出題の4割以上を占めるのが学習指導要領で、「第1章 総則」に出題が集中しています。改訂直後は「第1 小学校教育(中学校教育、高等学校教育)の基本と教育課程の役割」の出題が多く見られましたが、ここ数年は「第4 児童(生徒)の発達の支援」からの出題が多くなっています。
その中でも特に出題率が高いのが「特別な配慮を必要とする児童(生徒)への指導」。「障害のある児童(生徒)などへの指導」「海外から帰国した児童などの学校生活への適応や、日本語の習得に困難のある児童(生徒)に対する日本語指導」「不登校児童(生徒)への配慮」については、必ず目を通しておきましょう。また、自治体によっては、小・中・高・特すべての校種の学習指導要領から出題するところ、『学習指導要領解説』から出題するところもあります。受験する自治体の過去問で必ずチェックし、“得点源”となるよう演習しておきましょう。
ポイント◆2 『生徒指導提要』は「第1章 生徒指導の基礎」がミソ!
2022年12月改訂の『生徒指導提要』は、学習指導要領と双璧をなす出題率の高さを誇ります。
2024年実施試験で2回目の出題となりますが、相変わらず出題が多いのは「第Ⅰ部 第1章 生徒指導の基礎」で、「生徒指導の定義と目的」「生徒指導の構造(2軸3類4層構造)」などの出題が目立ちます。
今後は、第Ⅰ部の他の項、及びいじめ、不登校など個別の生徒指導の課題に対して言及している「第Ⅱ部 個別の課題に対する生徒指導」からの出題が増えることが予想されますので要チェックです。
ポイント◆3 特別支援教育は原理・法規・時事でトリプルチェック!
出題頻度表を見ても分かる通り、便宜上「教育原理」で分類している特別支援教育は、実際には教育法規、教育時事にまたがって出題されています。
ポイント◆1で見た学習指導要領「第1章 総則」で出題率の高い「第4 児童(生徒)の発達の支援」のほか、例えば教育時事の最重要答申の一つである中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(2021年1月)の中で「新時代の特別支援教育の在り方について」から出題されるなど、“隠れ”特別支援教育問題も少なくありません。
特別支援教育の出題はマスト!という自治体は多いので、必ず過去問でチェックしておきましょう。
※「出るとこグラフ」と「出題頻度表」は、ただいま発売中の『教員養成セミナー』2月号に掲載しています。
Challenge! 2024年実施試験|教育原理
(※本誌掲載の問題より一部を抜粋。また、掲載の都合上問題の一部を改めている箇所がある)
【学習指導要領(変遷)】
問題1.学習指導要領の改訂に関する次の各文を、改訂された年代の古いものから順に並べたものとして適切なものを選べ。(東京都)
⑴ 学校教育法施行規則を改正し、学習指導要領は教育課程の基準として文部大臣が公示するものであると改めた。また、学習指導要領の改訂において、小学校,中学校に道徳の時間を特設して、道徳教育を徹底して行うようにしたり、教育課程の最低基準を示し、義務教育の水準の維持を図ったりした。
⑵ 多くの知識を教え込むことになりがちであった教育の基調を転換し、児童生徒に自ら学び考える力を育成することを重視した教育を行うことが必要との観点から、総合的な学習の時間の創設のほか、各教科において体験的な学習や問題解決的な学習の充実を図った。
⑶ 知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視することなどを基本方針とし、小学校の国語、社会、算数及び理科、中学校の国語、社会、数学、理科及び外国語の授業時数を増加するとともに、小学校第5学年及び第6学年に外国語活動を新設した。
⑷ 我が国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視するとともに、世界の文化や歴史についての理解を深め、国際社会に生きる日本人としての資質を養うことなどを方針とし、小学校第1学年及び第2学年に生活科を新設した。
①⑴→⑵→⑶→⑷
②⑴→⑷→⑵→⑶
③⑵→⑶→⑷→⑴
④⑵→⑷→⑴→⑶
⑤⑷→⑵→⑶→⑴
【『生徒指導提要』(生徒指導の定義)】
問題3.次の文は、『生徒指導提要』(2022年12月、文部科学省)で示された生徒指導の定義である。下線部が正しいものには〇を、誤っているものには×を付けたときの組み合わせを選べ。(和歌山県)
生徒指導とは、A児童生徒が、B社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、C継続的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことである。なお、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う。
⑴A-○ B-○ C-×
⑵A-○ B-× C-○
⑶A-○ B-× C-×
⑷A-× B-× C-○
⑸A-× B-○ C-×
【特別支援教育(学習指導要領)(教育時事)(教育法規)】問題6.次の各問いに答えよ。(熊本県)
⑴ 小学校学習指導要領(2017年告示)には、「障害のある児童などへの指導」について、以下のように記されている。( )に入る適語を選べ。
障害のある児童などについては、( )等の助言又は援助を活用しつつ、個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
①教育委員会 ②主治医 ③保護者 ④療育機関 ⑤特別支援学校
⑵ 次の文は、「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」(2012年7月23日、文部科学省)の一部である。( )に入る適語を選べ。
「合理的配慮」は、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されるものであり、設置者・学校と本人・保護者により、発達の段階を考慮しつつ、「合理的配慮」の観点を踏まえ、「合理的配慮」について可能な限り( )を図った上で決定し、提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画に明記することが望ましい。
①共通理解 ②充実 ③合意形成 ④UD化 ⑤合理化
⑶ 次の文は、学校教育法第81条である。( )に入る適語を選べ。
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。
② 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
一( ) 二 肢体不自由者 三 身体虚弱者 四 弱視者 五 難聴者
六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの
①知的障害者 ②発達障害者 ③病弱者 ④情緒障害者 ⑤学習障害者
(解答・解説)
問題1.②
➡⑴昭和33 ・35年版学習指導要領→⑷平成元年版学習指導要領→⑵平成10・11年版学習指導要領→⑶平成20・21年版学習指導要領。
問題2.⑴
➡「第Ⅰ部 生徒指導の基本的な進め方」「第1章 生徒指導の基礎」「1.1 生徒指導の意義」「1.1.1 生徒指導の目的」「⑴生徒指導の定義」を参照。C:「継続的」ではなく「自発的」。
問題3.⑴-⑤ ⑵-③ ⑶-①
➡⑴「第1章 総則」「第4 児童の発達の支援」「2 特別な配慮を必要とする児童への指導」「⑴障害のある児童などへの指導」のアを参照。⑵文部科学省「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」(2012年7月23日)の「3 .障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備」を参照。⑶学校教育法第81条第1項・第2項「特別支援学級」の規定。
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