特別な支援・配慮が必要な子ども④性的マイノリティの子

最近は、「性同一性障害」「LGBTQ」などと呼ばれる性的マイノリティの子への支援や対応も、学校には求められるようになりました。

「性的マイノリティの子」はどのくらいいるの?

大人も子どもも含め、実社会にどれだけ「性的マイノリティ」と言われる人がいるかについてはさまざまな調査データがあり、正確な数値は分かりません。
学齢児童生徒については、文部科学省が2018年に調査結果を公表しており、全国で606件の報告がありました。戸籍上の性別で見ると、237件(39.1%)は男、366件(60.4%)は女となっています。606件という数字は、全国に約120万人の小中高校生が在籍していることを考えると、かなり少ない印象があります。ただしこの数字は、「児童生徒が望まない場合は回答を求めないこと」を前提にした調査であり、実数を示していないものであることに留意が必要です。

「性的マイノリティの子」って、どんな子どもたち?

「性的マイノリティ」は、類似する用語として「性同一性障害」や「LGBTQ」などがあります。法令用語としては「性同一性障害」が広く使われており、その定義等を示しているのが、2004年に施行された性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律です。この法律が制定されて以降、学校でもさまざまな対策が取られるようになりました。
「性同一性障害」とは、生物学的な性(からだの性)と性の自己意識(こころの性)が一致しないため、社会生活に支障がある状態を指します。そのことを周囲に伝えている人もいれば、伝えていない人もいるため、学校ではどの学級にも存在することを前提に、子どもたちと接する必要があります。

「性的マイノリティの子」には、どんな支援・配慮が行われているの?

「性的マイノリティの子」には、学校生活のさまざまな場面で支援や配慮が必要です。服装で言えば、戸籍上は「女」でも性自認は「男」という子の場合、男子生徒用の制服の着用を認めるといった配慮が考えられます。同様に、髪型も「男らしさ」「女らしさ」を強要するような指導は見直し、柔軟に対応することが求められています。
近年、厳しすぎる校則が社会問題となり、見直す動きが全国で起き始めていますが、「性的マイノリティの子」への配慮という視点も、校則改正の動きに取り入れていくことが必要です。
その他にも、体育の着替え、トイレの利用、宿泊を伴う行事、部活動などの場面でも配慮が求められています。こうした配慮は学校レベルでも、個々の教員レベルでも必要で、学級に性的マイノリティの子が在籍している可能性を念頭に置きながら、日々の教育活動を進めていくことが求められています。

押さえておこう!頻出の教育時事

「性的マイノリティ」に関連する教育時事の中で、教員採用試験によく出るものをピックアップします。

文部科学省「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について(通知)」(2015年4月)

「性的マイノリティ」への対応について、文部科学省が最初に出した方針がこの通知です。約10年前のものですが、今でも頻出の教育時事の資料です。

文部科学省「性同一性障害や性的指向・性自認に係る,児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)」(2016年4月)

上記の通知をもとに、学校での対応の在り方をより細かく示したガイドラインです。調査データ等も示しながら、対応の在り方を具体的に解説しています。

面接ではこう問われる!

  • 模範解答例
    まず、自分一人で対応するのではなく、学年の先生や管理職とも相談しながら、どのように支援をしていくかを検討します。もし、本人が隠していたい場合は、周囲の子どもたちに伝わらない形で、着替えやトイレなどさまざまな場面で配慮をしていきたいと思います。

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11月号の誌面では、特別な支援や配慮を必要としている子どもへの支援策に関連する法令や答申などを詳しく解説しているほか、実際に全国で出題された問題や、面接での質問例や模範解答なども掲載しています。ぜひお手にとってご覧ください。