TOPIC 5 「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(答申)

教育時事 出題頻度:★★★★★ 話題性:★★★☆☆ 難易度:★★★★☆

要点1:「個別最適な学び」とは

「個別最適な学び」は、2021年に中央教育審議会が答申で示した言葉です。その中身は「指導の個別化」と「学習の個性化」の2つによって構成されています。

要点2:「協働的な学び」とは

答申に示されたもう一つの学びの在り方が「協働的な学び」です。「個別最適な学び」が「孤立した学び」に陥らないよう、探究的な学習や体験活動等を通じ、子どもがクラスメイトや多様な他者と協働しながら取り組む学習活動のことを指します。子どもたち一人一人のよい点や可能性を生かすことで、異なる考え方が組み合わさり、よりよい学びが生まれることが期待されています。

要点3:その他押さえておきたいキーワード 

答申には「個別最適な学び」や「協働的な学び」のほかにも、いくつか押さえておきたいキーワードが出てきます。概要だけでも理解しておくようにしましょう。

Society5.0時代 
人工知能(AI),ビッグデータ,Internet of Things(IoT),ロボティクスなどの先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられた社会のこと。答申では,子どもたちが生きていくこれからの時代を示す言葉として使われています。

ICTの活用 
知識・技能の効率的な定着、遠隔地とつないだ学習活動、学習データを活用した授業や学びの改善など、ICTのよさにも目を向けながら「これまでの実践とICTとの最適な組み合わせを実現する」ことの必要性を指摘しています。

持続可能な社会の創り手 
現行学習指導要領の「総則」にも登場する言葉。一人一人の子どもがあらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながらさまざまな社会的変化を乗り越え、「持続可能な社会」を創っていくことを指します。

履修主義・修得主義 
所定の教育課程を一定年限の間に履修することでもって足りるとする「履修主義」と、履修した内容に照らして一定の学習の実現状況が期待される「修得主義」という2つの考え方があります。答申では、この2つを適切に組み合わせることが大切だと述べています。

予想問題
 次の各文は,中央教育審議会「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」(2021年1月)の内容について述べたものである。誤っているものを選べ。

⑴ 現行学習指導要領が「個に応じた指導」を重視していることを踏まえ、新しい学びの在り方として「個別最適な学び」が提唱された。

⑵ 「個別最適な学び」は、「指導の個別化」と「学習の個性化」で構成され、この2つを適切に組み合わせていくことが求められている。

⑶ 子供たちが探究的な学習や体験活動等を通じ,クラスメイトや多様な他者と協働しながら取り組む「協働的な学び」の実施が求められている。

⑷ ICTを活用して知識・技能の効率的な定着を図ったり、遠隔地をつないだ学習活動を行ったりすることも大切であるとしている。

⑸ 旧来型の「履修主義」を改め、これからは履修した内容に照らして一定の学習の実現状況が期待される「修得主義」を採用していく方針が示された。

(解答・解説)

 ➡⑸答申では「履修主義」と「修得主義」を適切に組み合わせることが大切だと述べている。同答申「第Ⅰ部 総論」「4.『令和の日本型学校教育』の構築に向けた今後の方向性」を参照。

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