学校で進められている「働き方改革」とは、どのようなものなのでしょうか。教員志望者として知っておくべき基本情報を解説していきます。(①からのつづき)
4・「働き方改革」のこれまでの経緯を教えて
教員の過重労働が常態化し、精神疾患の増加や教員志望者の減少などが進む中で、国も状況改善に向けて動きだしています。ここでは、具体的な改善策が示されるまでの経緯を簡単に解説していきます。
2017年4月 文部科学省の調査で過重労働の実態が明らかに
教員の労働時間が年々長くなっていることについては、それとなく多くの関係者が認識してはいました。それが調査結果として示されたのが2017年4月で、文部科学省が実施した「教員勤務実態調査」により、状況が明らかになったのです。同時に、 SNSを中心に教員の過重労働を物語るエピソードが次々と発信され、「教職はブラック」というイメージが定着していきました。また、実質的に残業代が出ず、代わりに4%の教職調整額を支給する給与体系についても「定額働かせ放題」などと揶揄され、改善を求める声が各地で上がり始めました。
2017年6月~ 中央教育審議会が対策を協議
こうした状況を受け、2017年6月に文部科学大臣が中央教育審議会に諮問を行い、有識者による改善策の検討が始まりました。その後、中央教育審議会の「学校における働き方改革特別部会」で審議が重ねられ、2017年8月に「学校における働き方改革に係る緊急提言」、2017年12月には「中間まとめ」が出されました。また、「中間まとめ」を踏まえて、文部科学省が「学校における働き方改革に関する緊急対策」を出すなど、状況改善に向けた具体策が示されました。
2019年1月 「働き方改革」の総合的な方針が示される
2017年6月に諮問を受けた後、中央教育審議会では計21回にわたり審議を重ねました。そして、最終的には2019年1月に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」として取りまとめました。
この答申には、学校の働き方改革の基本的な方針、具体的な方策等が示されています。教員採用試験の教育時事問題でも頻繁に出題される資料なので、次回以降で詳しく解説していきます。
【③へつづく】
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