ここでは学校の「働き方改革」について、ここまで解説してきた内容を踏まえ、過去に出題された試験問題で腕試しをしていただきます(※本誌掲載の問題より一部を抜粋)。
問題❶ 北海道 2023年実施試験(一部改題)
次の文は、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(2019年1月 中央教育審議会)の一部である。各問いに答えよ。
(前略)教師のこれまでの働き方を見直し、教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの( ① )とともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して( ② )を行うことができるようになることが学校における働き方改革の目的であり、そのことを常に原点としながら改革を進めていく必要がある。
⑴ 上の文の( )に入る適語の正しい組み合わせを選べ。
ア ①健康を保持する ②効果的な教育活動
イ ①健康を保持する ②計画的な進路指導
ウ ①授業を磨く ②効果的な教育活動
エ ①授業を磨く ②計画的な進路指導
オ ①士気を高める ②効果的な教育活動
⑵ 下線部について、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」に示されている内容として、正しいものの組み合わせを選べ。
① 休み時間における対応は、教師に児童生徒の事故等を防止する措置を講ずる注意義務等が生じるため、教師以外の学校職員がその業務を担うことは適切ではない。
② 登下校時の見守り活動の日常的・直接的な実施は必ずしも教師が担わなければならないものではない。
③ 給食指導については、学習指導要領の特別活動として位置付けられ、その解説においても、学級担任の教師による指導が原則であると記載されている。
④ 定期テストの問題作成・採点、通知表・調査書・指導要録の作成等の学習評価、それに伴う成績処理については、スクール・サポート・スタッフ等を参画させるべきである。
⑤ 校内清掃は校内で行われるものではあるが、児童生徒が行う清掃の見守りは、教員免許を必ずしも必要とする業務ではない。
ア-①、②、③
イ-①、②、④
ウ-①、④、⑤
エ-②、③、⑤
オ-③、④、⑤
問題❷ 愛知県 2024年実施試験
次の各文は「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」(2022年12月 スポーツ庁文化庁)の「 I 学校部活動」の「 3 適切な休養日等の設定」の一部を基にしたものである。( )に入る適語を語群から選ぶとき、正しい組み合わせを選べ。
⑴ 運動部活動における休養日及び活動時間については、(中略)以下を基準とする。
・学期中は、週当たり( ① )日以上の休養日を設ける。
・長期休業中の休養日の設定は、学期中に準じた扱いを行う。また、生徒が十分な休養を取ることができるとともに、学校部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。
・1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は( ② )時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行う。
⑵ 校長は、「学校の( ③ )」の策定に当たっては、学校の設置者が策定した方針に則り、学校部活動の休養日及び活動時間等を設定し、公表する。
【語群】
ア 1
イ 2
ウ 3
エ 6
オ 部活動に係る活動方針
カ 教育課程
【解答群】
⒜ ①-ア ②-ウ ③-オ
⒝ ①-ア ②-ウ ③-カ
⒞ ①-ア ②-エ ③-オ
⒟ ①-ア ②-エ ③-カ
⒠ ①-イ ②-ウ ③-オ
⒡ ①-イ ②-ウ ③-カ
⒢ ①-イ ②-エ ③-オ
⒣ ①-イ ②-エ ③-カ
問題❸ 島根県 2022年実施試験
次の文は「学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)」(2019年3月 文部科学省)の一部である。( )に入る適語の正しい組み合わせを選べ。
・ 保護者や地域住民、関係機関との学校経営方針をはじめとした情報共有を緊密に行い、適切な役割分担を図ること。地域・保護者、関係機関との連携に当たっては、( ① )の活用や地域学校協働活動を推進するとともに、文部科学省からのメッセージを適宜活用されたいこと。
・ 学校単位で作成される計画については、( ② )の観点や、計画の機能性を高めカリキュラム・マネジメントの充実を図る観点から、計画の統合も含め、計画の内容や学校の実情に応じて真に効果的な計画の作成を推進すること。
・ 各教科等の指導計画や、支援が必要な児童生徒等のための個別の指導計画・教育支援計画等の有効な活用を図るためにも計画の内容の見直しや学校の実情に応じて( ③ )が協力して作成し共有化するなどの取組を推進すること。
⑴ ①コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度) ②学校教育の充実 ③複数の教師
⑵ ①コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度) ②学校教育の充実 ③地域と学校
⑶ ①PTA ②業務の適正化 ③地域と学校
⑷ ①PTA ②学校教育の充実 ③複数の教師
⑸ ①コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度) ②業務の適正化 ③複数の教師
問題❹ 岐阜県 2023年実施試験
次の文は「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」(2019年1月 文部科学省)の一部である。( )に入る適語の正しい組み合わせを選べ。
現在、我が国の学校教育が挙げてきた大きな蓄積と高い効果を持続可能なものとし、新学習指導要領を円滑に実施していくため、「学校における働き方改革」が進められている。
教師の業務負担の軽減を図り、限られた時間の中で教師の( ① )を生かしつつ、授業改善のための時間や児童生徒等に接する時間を十分確保し、教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、教師の( ② )や創造性を高め、児童生徒等に対して効果的な教育活動を持続的に行うことをできる状況を作り出す。これが「学校における働き方改革」の目指すところであり、文部科学省では業務の( ③ )・適正化、必要な環境整備等、教師の長時間勤務是正に向けた取組を着実に実施していくこととしている。
⑴ ①資質 ②道徳性 ③簡素化
⑵ ①資質 ②道徳性 ③明確化
⑶ ①専門性 ②人間性 ③簡素化
⑷ ①専門性 ②人間性 ③明確化
⑸ ①資質 ②人間性 ③明確化
問題❺ 大分県 2024年実施試験
次の文は、「学校における働き方改革」の一つとして示されている「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」(2019年1月 文部科学省)の一部である。文中の下線部が誤っているものを選べ。
3.勤務時間の上限の目安時間
⑴ 本ガイドラインにおいて対象となる「勤務時間」の考え方
教師は、社会の変化に伴い子供たちがますます多様化する中で、語彙、知識、概念がそれぞれに異なる一人一人の子供たちの発達の段階に応じて、指導の内容を理解させ、考えさせ、表現させるために、言語や指導方法をその場面ごとに選択しながら、学習意欲を高める授業や適切なコミュニケーションをとって教育活動に当たることが期待されている。このような教師の専門職としての専門性や職務の特徴を十分に考慮しつつ、①「超勤4項目」以外の業務が長時間化している実態も踏まえ、こうした業務を行う時間も含めて②「勤務時間」を適切に把握するために、今回のガイドラインにおいては、在校時間等、外形的に把握することができる時間を対象とする。
具体的には、教師等が校内に在校している在校時間を対象とすることを基本とする。なお、所定の勤務時間外に校内において自らの判断に基づいて自らの力量を高めるために行う③授業準備の時間その他業務外の時間については自己申告に基づき除くものとする。
これに加えて、校外での勤務についても、職務として行う研修への参加や、児童生徒等の引率等の職務に従事している時間については、時間外勤務命令に基づくもの以外も含めて外形的に把握し、対象として合算する。また各地方公共団体で定める方法によるテレワーク等によるものについても合算する。
ただし、これらの時間からは、休憩時間を除くものとする。これらを総称して④「在校等時間」とし、本ガイドラインにおいて対象となる「勤務時間」とする。
⑴-① ⑵-② ⑶-③ ⑷-④ ⑸-⑤
(解答・解説)
問題❶:⑴-ウ ⑵-エ
➡ ⑴同答申の「第1章 学校における働き方改革の目的」「2.学校における働き方改革の目的」を参照。⑵①「学校には、休み時間における児童生徒の事故等を防止する措置を講ずる注意義務等が生じるが、現在でも教師以外の学校職員がその業務を担うこともある」とされる。同答申の別紙2「これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方について」「【学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務】」を参照。④「スクール・サポート・スタッフ等を参画させるべきである」→「教師が行うべき業務である」。同答申の別紙2「これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方について」「【教師の業務だが負担軽減が可能な業務】」を参照。
問題❷:⒠
➡ 同ガイドラインの「 I 学校部活動」の「 3 適切な休養日等の設定」を参照。
問題❸:⑸
➡ 同通知の「 2.学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」「⑶業務の役割分担・適正化のために各学校が取り組むべき方策」及び「⑷学校が作成する計画等の見直し」を参照。
問題❹:⑷
➡.同ガイドラインの「 1.趣旨」を参照。
問題❺:⑶
➡ ③「授業準備」→「自己研鑽」。同ガイドラインの「 3.勤務時間の上限の目安時間」「⑴本ガイドラインにおいて対象となる『勤務時間』の考え方」を参照。
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