①2023年6月に閣議決定された「第4期教育振興基本計画」が多数自治体で出題。2025年実施試験に向けても対策必須の資料。
②「いじめ」「不登校」は例年出題の多い定番テーマ。通知等資料の対策は欠かせない。
③2025年実施試験に向けて「特別支援教育」に関する資料に注意。
ポイント◆1 「5つの基本的な方針」 と「ウェルビーイング」などキーワードをチェック
単独の資料として最も多く出題されたのは「第4期教育振興基本計画」(2023年6月)で、25自治体で問われました。まず押さえるべきは「5つの基本的な方針」。次に「ウェルビーイング」「教育デジタルトランスフォーメーション(DX)」といったキーワードを押さえましょう。 2025年実施試験では、さらに「16の目標と基本施策」に出題がシフトしていく可能性があります。「目標1 確かな学力の育成、幅広い知識と教養・専門的能力・職業実践力の育成」「目標2 豊かな心の育成」など、学校教育に直結する部分は必読です。
国の「第4期教育振興基本計画」を受けて策定される各都道府県市の「教育振興基本計画」もローカル問題のある自治体ではよく問われます。
ポイント◆2 「令和の日本型学校教育」関連資料は必読!
2023年実施試験において30自治体で問われていた中央教育審議会答申「令和の日本型学校教育の構築を目指して」(2021年1月)を出題した自治体は、17自治体とおよそ半減しました。
とはいえ、いまだ出題率の高い答申であることに変わりはありません。当初は、答申のサブタイトルにもある「個別最適な学び」や「協働的な学び」に関する部分の出題が目立ちましたが、近年は「ICTの活用」や「特別支援教育」に関する部分などへ広がりつつあります。
加えて、2021年以降も「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」(2022年12月)、「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」(2024年8月)と、「令和の日本型学校教育」関連資料はまだまだ続いています。「学習指導要領の趣旨の実現に向けた個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に関する参考資料(令和3年3月版)」のような「個別最適な学び」に関する資料にも注目しておきましょう。
ポイント◆3 受験する自治体の過去問と、全国的な“トレンド”から探れ!
出題頻度表を「タテ」に見ると、受験する自治体が過去5年間にどういった教育トピックを出題しているかを把握することができます。一方、受験する自治体ではあまり出題されていなくても、出題「総数」の多い教育トピックは、今後出題されるかもしれない“トレンド”な教育トピックです。
以下は、2025年実施試験で狙われそうな最新の教育トピックです。受験する自治体の過去問と照らし合わせてチェックしましょう。特に、2024年実施試験以降に発表されたものは要注意です。
※「出るとこグラフ」と「出題頻度表」は、ただいま発売中の『教員養成セミナー』2月号に掲載しています。
Challenge! 2024年実施試験|教育時事
(※本誌掲載の問題より一部を抜粋。また、掲載の都合上問題の一部を改めている箇所がある)
【第4期教育振興基本計画】
問題1.次の各問いに答えよ。(千葉県・千葉市)
⑴ 「教育振興基本計画」(2023年6月16日閣議決定)では、この計画に関して「5つの基本的な方針」が示されている。その内容として適当でないものを選べ。
① グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
② 全ての人の可能性が引き出され、多様な人々が参画するインクルーシブ社会の実現に向けた教育の推進
③ 地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進
④ 教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
⑤ 計画の実効性確保のための基盤整備・対話
⑵ 次の表は、「教育振興基本計画」(2023年6月16日閣議決定)の「教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」のデジタル化の3段階についてまとめたものである。( )に入る適語の正しい組み合わせを選べ。
ア デジタライゼーション
イ ICT化
ウ デジタイゼーション
エ AI化
オ 教育データに基づく教育内容の重点化と教育リソースの配分を最適化すること
カ 学校のICT環境を整備すること
キ 紙の教材を組み合わせている現状から、デジタル教材のリコメンドを参考に教材の最適な選択を行うことができるようになること
ク 児童生徒が1人1台端末を使用してAI機器の操作に習熟すること
ケ 紙のプリントをデジタル化して配信すること
①a-ウ b-ア c-ケ d-キ e-ク
②a-イ b-ア c-ケ d-キ e-オ
③a-ア b-エ c-カ d-ケ e-オ
④a-ア b-ウ c-カ d-ケ e-ク
⑤a-ウ b-ア c-ケ d-キ e-オ
【「令和の日本型学校教育」答申】
問題2.2022年12月19日に、中央教育審議会より、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について~「新たな教師の学びの姿」の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成~(答申)」が示された。次の文は、この答申に示された「第Ⅰ部 総論」の「4.今後の改革の方向性」の「⑴『新たな教師の学びの姿』の実現」からの抜粋である。( )に入る適語を選べ。(岩手県)
①.教職生活を通じた「新たな学びの姿」の実現
高度な専門職である教師は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努め
る義務を負っており、学び続ける存在であることが社会からも期待されている。
既に、審議まとめでは、「新たな教師の学びの姿」として、
●変化を前向きに受け止め、探究心を持ちつつ自律的に学ぶという「( ア )」
●求められる知識技能が変わっていくことを意識した「( イ )」
●新たな領域の専門性を身に付けるなど強みを伸ばすための、一人一人の教師の個性に即した「( ウ )」
●他者との対話や振り返りの機会を確保した「( エ )」
を示した。
具体的には、教師と任命権者・服務監督権者・( オ )等との積極的な対話を踏まえながら、任命権者等が提供する学びの機会と、教師自らが主体的に求めていく多様な主体が提供する学びとが相まって、変化を前向きに受け止め、探究心を持ちつつ自律的に学ぶ教師が育っていくことを目指すことが必要である。
①発展的な学び ②外部専門機関 ③主体的な姿勢 ④積極的な姿勢 ⑤持続的な学び
⑥創造的な学び ⑦学校管理職 ⑧協働的な学び ⑨実践的な学び ⑩互恵的な学び
⑪自発的な姿勢 ⑫継続的な学び ⑬研修担当者 ⑭組織的な学び ⑮個別最適な学び
【全国学力・学習状況調査】
問題3.「令和5年度 全国学力・学習状況調査の結果」(国立教育政策研究所、2023年7月)に示された調査結果に関する記述として適切なものを選べ。(東京都)
⑴ 小学校国語については、複数の情報を整理して自分の考えをまとめたり書き表し方を工夫したりすることは比較的できているが、話や文章の中心となる語や文を捉えることに課題がある。
⑵ 中学校国語については、情報と情報との関係について理解することはできているが、聞き取ったことを基に、目的に沿って自分の考えをまとめることに課題がある。
⑶ 小学校算数については、図形を構成する要素などに着目して、図形の性質や計量について考察することはできているが、式を日常生活に関連付けて読み取ることに課題がある。
⑷ 中学校数学については、問題解決の過程や結果を振り返って考察することは身に付いていると考えられるが、基礎的・基本的な計算技能に課題がある。
⑸ 中学校英語の「聞くこと」、「読むこと」、「書くこと」については、日常的な話題について、短い情報を正確に聞き取ったり、事実と考えを区別して読んだりすることはできているが、日常的な話題に関する文章の概要を捉えたり、社会的な話題について自分の考えや理由を表現したりすることに課題がある。
【生成AI】
問題4.次の文は、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」(2023年7月、文部科学省)において示された「3 .生成AIの教育利用の方向性 ⑵生成AI活用の適否に関する暫定的な考え方」の一部である。( )に入る適語の正しい組み合わせを選べ。(高知県)
〇 子供の発達の段階や実態を踏まえ、( ① )・保護者同意等の利用規約の遵守を前提に、教育活動や学習評価の目的を達成する上で、生成AIの利用が( ② )か否かで判断することを基本とする(特に( ③ )に利用させることには慎重な対応を取る必要がある)。
〇 まずは、生成AIへの懸念に十分な対策を講じられる( ④ )でパイロット的に取り組むことが適当。
⑴①年齢制限 ②効果的 ③小学校段階の児童 ④学校
⑵①使用制限 ②効率的 ③小学校段階の児童 ④学級
⑶①使用制限 ②効果的 ③小学校段階の児童 ④学級
⑷①使用制限 ②効果的 ③中学校段階の生徒 ④学校
⑸①年齢制限 ②効率的 ③中学校段階の生徒 ④学級
【学校安全】
問題5.「 学校の事故対応に関する指針【改訂版】」(2024年3月、文部科学省)で示されている事故発生の未然防止に関する内容として誤りを含むものを選べ。(宮城県・仙台市)
⑴ 校内で発生した重大事故を、教職員が個人ごとに調べ日々の教育活動に活用すれば、他の教職員と共有したり全国の学校等での事例を調べたりしなくても事故を十分防ぐことができる。
⑵ 危機管理マニュアルの策定は不可欠である。また毎年度、訓練等の結果を踏まえて、絶えず検証・見直しを行い、実効性のある危機管理マニュアルに改訂することが重要である。
⑶ 研修等の実施にあたっては、危機事象について教職員のみで全て対応できるようにするということだけではなく、危機等発生時に児童生徒等の安全を確保し、被害を最小限にとどめるという観点を最も重視すべきである。
⑷ 学校の施設及び設備等を安全に保つことは学校安全の基本であり、安全点検は、学校保健安全法第27条及び学校保健安全法施行規則第28条に定められているとおり、計画的に実施する必要がある。
(解答・解説)
問題1.⑴-② ⑵-⑤
➡⑴ ②「Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針」「(5つの基本的な方針)」を参照。正しくは「誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進」。⑵「Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針」「(5つの基本的な方針)」「④教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」「(DXに至る3段階)」を参照。
問題2.ア-③ イ-⑫ ウ-⑮ エ-⑧ オ-⑦
問題3.⑸
➡⑴正しくは「話や文章の中心となる語や文を捉えることは比較的できている。複数の情報を整理して自分の考えをまとめたり書き表し方を工夫したりすることに課題がある」。⑵正しくは「聞き取ったことを基に、目的に沿って自分の考えをまとめることはできている。情報と情報との関係について理解することに課題がある」。⑶正しくは「式を日常生活に関連付け読み取ることはできている。図形を構成する要素などに着目して、図形の性質や計量について考察することに課題がある」。⑷正しくは「基礎的・基本的な計算技能は身に付いていると考えられる。問題解決の過程や結果を振り返って考察することに課題がある」。2025年実施試験対策としては、令和6年度調査結果(2024年7月)を参照すること。
問題4.⑴
問題5.⑴
➡⑴「⑴重大事故・ヒヤリハット事例の共有と活用」「学校」を参照。正しくは「国等からの重大事故の情報(中略)や各種事故情報及び、同様の事故の未然防止のための注意喚起の通知を、教職員間で共有するとともに、校内で発生したけがや、ヒヤリハット事例についても共有し、重大事故が発生する前に対策を講じる必要がある」と示されている。
もっと問題に触れたい方は『月刊 教員養成セミナー』2025年2月号をcheck✔
2月号の誌面では、教育時事の「出るとこグラフ」と「出題頻度表」、そして全国で2024年実施試験で実際に出題された教育時事の問題を掲載しています。ぜひお手にとってご覧ください。