特別な支援・配慮が必要な子ども①発達に特性のある子

発達に特性のある子どもは「発達障害」などと呼ばれ、通常学級にも数多くいると言われています。また、そうした子どもへの支援の仕組みや対応のし方は、教員採用試験でもよく問われます。

「発達障害」の子どもはどのくらいいるの?

2022年度に文部科学省が実施した調査によると、「学習面又は行動面で著しい困難を示す」子どもの割合は、小中学校で全体の8.8%にも上ります。35人学級に換算すると、平均で3人程度は在籍している計算で、前回(2012年)調査より2.3%も増加しました。
文部科学省が最初にこの調査を行ったのは2002年で、このときの調査が一つの契機となって、「発達障害」の児童生徒の存在が大きくクローズアップされました。その後、2007年4月には「特別支援教育」の推進が打ち出され、それ以前に特殊教育の対象だった児童生徒だけでなく、発達障害の児童生徒も含めて一人一人に必要な支援を講じていく方針が示されました。

「発達障害」にはどんなタイプがあるの?

発達障害の定義は、発達障害者支援法とその施行令・施行規則に示されています。それらをまとめると、概ね下に示すものが発達障害だと言えます。

① 自閉症

② アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害

③ 学習障害(LD)

④ 注意欠陥多動性障害(ADHD)

⑤ 脳機能の障害による言語の障害,協調運動の障害

⑥ 上記①~⑤を除く心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害

なお、①自閉症と②アスペルガー症候群を合わせて「広汎性発達障害」と呼ぶこともあります。①~④の特性が重複して現れる子どももいるため、診断には難しさがあります。

「発達障害」の子どもはどんな仕組みで支えられているの?

下の図は、現状の特別支援教育の制度的枠組みを示したものです。発達障害の子どもの多くは、「通常学級」に在籍しながら「通級」で指導を受けています。「通級」とは、日ごろは通常学級で授業を受け、一部の教科のみ「通級指導教室」へ行き、特別な支援を受けながら学ぶというものです。2021年度は学習障害3万3921人、注意欠陥多動性障害3万8231人の小中学生が、そのような仕組みの下で学んでいます。また、発達障害のうち自閉症の生徒の一部は「特別支援学級」で学んでいます。
なお、障害のある児童生徒がどこの学校や学級に在籍するかは、本人・保護者の意見を最大限尊重しながら、教育委員会の「就学指導」により決定します。


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