教育界激震!の「生成AI」

2023年の流行語にもなった「生成AI」。学校教育にも、さまざまな影響が及ぶと言われています。
ここでは、生成AIの教育利用を中心に解説していきます。

「生成AI」ってどんなものなの?

生成AIとは、インターネット等の大量のデータをもとに、コンピュータが文章や画像、動画、音声などを新たに生成する人工知能(AI)のことです。コンピュータに具体的な指示を与えると、インターネット等から深層学習(ディープラーニング)したデータを基に、回答が出力されます。すでに民間企業等では、業務の効率化やアイデア出し、マーケティングなどに幅広く使われています。

「生成AI」にはどんな種類があるの?

2023年に「ChatGPT」の登場で話題になった生成AIですが、現在はグーグルの「Gemini」、マイクロソフトの「Copilot」なども多くの人々に使われています。

▶︎ChatGPT
米国のOpenAI社が開発。テキスト生成の精度の高さが評判を呼び、世界中に生成AIブームを巻き起こした。

▶︎Gemini
グーグル社が2023年12月にリリース。画像、動画、音声も理解できる「マルチモーダル機能」を備えている。

▶︎Copilot
マイクロソフト社がWindowsOS向けに提供するチャット型の生成AI。OpenAI社と提携し、「GPT-4」を搭載している。

「生成AI」は学校で使われているの?

ごく一部の学校・教員ではありますが、すでに生成AIを使った授業実践を行っています。具体的なパターンをいくつか紹介します。

生成AIを使って学習

授業で学んだことを深く知りたいときなどに、生成AIに「〇〇について詳しく教えて」と質問をすると、教科書には載っていないことも含めて詳しく教えてくれます。

生成AIについて学ぶ

今後の実社会では、生成AIを使いこなすスキルが必要だと言われています。その意味で、生成AIについて学び、そのメカニズムを理解することが大切です。

生成AIを使って創る

生成AIは、文章はもちろん、図表や画像、音声なども生成できます。例えば、探究学習のプレゼン資料などを作成する際に生成AIを活用すれば、表現の幅が広がります。

「生成AI」を使用する際の注意点は?

生成AIは便利な道具ですが、学校教育で利用する際は、さまざまな点で注意が必要です。文部科学省でも2023年7月に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を公表(現在、改訂作業が進行中)し、学校で利用する際の留意点などを示しています。

生成AIによっては年齢制限がある

ICT機器やツールを活用する際は、相応のリテラシーが必要です。生成AIについても個人情報や有害情報などへの配慮から、各サービス別に年齢制限が設けられています。文部科学省のガイドラインにも、小学校段階での利用には慎重になるべきとの方針が示されています。

個人情報が学習されてしまうリスクがある

生成AIは、主にネット上から学習した情報をもとに回答を生成しますが、ユーザーからの質問も学習します。そのため、児童生徒の氏名などを入れて質問すると、個人情報が学習されてしまうことになります。そうしたリスクを排除するために、最近では生成AIに学習させずに利用できるツールも開発・リリースされています。

不確かな情報、虚偽の情報が出力される

生成AIは、必ずしも正しい情報を出力するとは限りません。時には、存在しない情報や虚偽の情報を出力することもあり、「ハルシネーション」と呼ばれています。そのため、生成AIを活用する際は、出力された内容を鵜呑みにせず、情報が正しいかどうかを判断するリテラシーが必要になってきます。


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