PART 1 2025年実施試験必出!「論点整理」を押さえよう

2024年9月18日に文部科学省の有識者検討会が、次期学習指導要領を見据えて出した「論点整理」について、2025年実施試験で問われそうなポイントを解説していきます。

有識者検討会の「論点整理」とは

現行学習指導要領は、そこに示された理念や実践が、すべての学校に浸透しきっているとは言えず、現場では多くの課題に直面しています。そうした状況がある中で、次期学習指導要領はどのようにあるべきか、有識者による検討が2022年12月から1年9カ月にわたって行われてきました。その最終まとめとして示されたのが、この「論点整理」(「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会 論点整理」)です。具体的に、下のような構成になっており、これからの社会を見据えて、子どもたちにどのような資質・能力を育成していくべきかを示しています。基本的な方向性は現行学習指導要領を踏襲しつつ、多様な個性や特性を持つ子どもたちに対応するため、各学校が柔軟な教育課程を編成できるようにしていくことなどが述べられています。

「論点整理」の構成

1.これからの社会像とこれまでの学習指導要領の趣旨の実現状況
2.これからの社会像や現状の課題を踏まえた資質・能力
3.各教科等の目標・内容、方法、評価
4.多様な個性や特性、背景を有する子供たちを包摂する柔軟な教育課程
5.学習指導要領の趣旨の着実な実現を担保する方策や条件整備
6.学習指導要領の趣旨の実現に向けた政策形成・展開

押さえておくべきキーワードは?

KEYWORD 1 “well-being(ウェルビーイング)”
ここ数年、教育界でもしきりに聞かれるようになった用語。身体的、精神的に健康で、かつ社会的、経済的にも満たされた状態を指す言葉です。日本の学校教育においては、児童生徒だけでなく、教職員のウェルビーイングをいかに担保するかが、大きな課題とされています。

KEYWORD 2 “生成AIの加速度的発展”
ここ数年、生成AIが急速に進化・普及し、今後は多くの仕事がコンピュータに代替されるようになると言われています。そうした中で、これからの時代を生きる人たちにはどのような資質・能力が必要なのか、「論点整理」は具体的な方向性を示しています。

KEYWORD 3 “カリキュラム・オーバーロード”
教育課程(カリキュラム)の過積載(オーバーロード)を指す言葉で、学校での指導内容が多すぎて、教職員や児童生徒にさまざまな課題が生じている状況を意味しています。先進国に共通する課題ですが、日本でもここ数年、解消の必要性が叫ばれるようになってきました。

KEYWORD 4 “包摂的(インクルーシブ)な教育環境の構築”
障害や発達特性のある子どもたちはもちろん、多様な背景を持つ子どもたちも含め、一人一人が資質・能力を伸ばせるようにしていくことを示す言葉です。日本社会が多様化・多国籍化していく中で、そうした環境の構築が個人と社会の「ウェルビーイング」につながっていくという考え方に基づいています。

試験ではここが問われる

「論点整理」の中で、試験で問われそうな部分(本誌掲載分の一部)を抜粋し、解説していきます。


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