現役小学校教師の髙橋先生が、子どもたちへの“願い”を込めて編み出した学級経営の「ちょこっとスキル」。これを参考にすればあなたもみんなが居心地良く成長できる学級をつくれます! 隔週金曜日に更新します。
第9回 授業を磨く『スキルを磨くスキル』
こんなときに使う!
『ちょこっとスキル』(明治図書出版)というシリーズの本を書いています。同じ「スキル」でも効果的にするためには、自分で磨くことが大切です。また、磨かれた「スキル」は、みなさんのつくりたい授業を実現させるお手伝いをしてくれます。今回は「授業」に焦点を当ててご紹介いたします。
こうやって使う!
STEP1 『スキル』を使ってみる
うまくいくかな? という不安な気持ちもあると思います。しかし、ハサミが怖いからといって使わなければいつまで経っても使えないように、スキルも使わなければ使えるようになりません。色々なスキルをどんどん使って改善して磨き、自分の武器にすることが大切です。
STEP2 自分で『改善』する
上の画像は、「黒板コツン」というスキルです。子どもに注目させたい時に、黒板をコツンと鳴らすスキルです。簡単なスキルですが、鳴らす回数や大きさ、教師の立ち位置など、より効果的な使い方を試しながら使っています。また、このスキル、ハマらないなぁと思わなければ使うのをやめます。
STEP3 近くの人からスキルを盗む
実は、優れたスキルというものは身近にたくさんあふれています。授業の上手な先生は確実にちょっとしたスキルを使っています。それも「無意識」である場合が多いです。ですので、このスキルすごいなぁと思うものを見つけられるように意識し、見つけたらどんどん使うことがオススメです。
スキルに込めた願い
つくりたい授業を実現させてほしい
みなさんはどんな授業をつくりたいですか?
「わかった!」「楽しい!」と言ってもらいたい。
そんな授業をつくりたいと思い、日々教材研究をします。私もそうです。しかし私が今よりも未熟な頃、いくら教材研究をしてもうまくいきませんでした。授業の上手な先生の指導案を手に入れて同じように展開しても全くうまくいきません。どうやら、教材研究以外にも授業を上達させる要因があるんだということに気づきました。それが、「スキルを磨く」ということだったんです。
今回は、読者のみなさんがつくりたい授業を実現させるために、自分を磨く方法をご紹介いたします。
つくりたい授業を実現させる「スキル」
例えば、画像にある「黒板コツン」というスキルは、話を聞かせたいときに使います。
「話を聞きなさい!」と、子どもに言う必要がなくなるので、自然な雰囲気で話を聞く雰囲気にすることができます。
みなさんがつくりたい授業を実現させるためには、教材研究以外にも「スキルを効果的に使う」ということもポイントだと考えます。このスキルを効果的に使うということが「授業を磨く」ことにつながります。
スキルで授業者を磨く
同じスキルを使うにも、人によって効果が違います。扱い方のレベルももちろんですが、教師のキャラクターによっても変わってきます。
そこで、自分にハマるようにスキルの使い方を改善していきます。黒板コツンなら、
・ざわついているときは少し大きめに「コンコン」
・話にインパクトを待たせるときは「一発コン」
・注意して聞かせたいときは「小さな音でコン」
など、色々と試して使います。その中で、自分にハマるスキルの使い方を探ります。また、どんなに試してもハマらないスキルが出ます。そのスキルを使うのをやめるのもありです。
自分にハマる使い方を探るのもハマらないスキルを使わないようにするのも、授業者が磨かれ、「授業を磨く」ことにつながります。
スキルは身近にたくさん!
「トモ先生は、スキルがたくさんあるんですね」と言われることがありますが、そうではありません。実は、みなさんの周りには無意識レベルで使われているスキルがたくさんあります。
授業の上手な先生は必ず使っています。
・声の出させ方
・手の挙げ方
・発表のさせ方
・ノートのとらせ方 などなど
キリがありません。その無意識で使っているスキルに気づくことが大切です。また、もしかしたら自分も無意識で使っているスキルがあるかもしれません。そのスキルをさらに意識的に使うことでより効果的にすることができます。
このように、「無意識レベルのスキル」を磨くことが、「授業を磨く」ことにつながります。
著 髙橋朋彦
1983年千葉県生まれ。千葉県小学校勤務。2019年「実践!私の教育記録」(日本児童教育振興財団主催)特別賞受賞。『ちょこっとスキル』シリーズ(共著、明治図書)『明日からできる速攻マンガ4年生の学級づくり』(日本標準)「教育サークル スイッチオン」「バラスーシ研究会」「日本学級経営学会」などに所属。算数と学級経営を中心に学んでいる。