現役小学校教師の髙橋先生が、子どもたちへの“願い”を込めて編み出した学級経営の「ちょこっとスキル」。これを参考にすればあなたもみんなが居心地良く成長できる学級をつくれます! 隔週金曜日に更新します。
第4回 やる気がアップ!『具体的なゴールの姿の共有』
こんなときに使う!
一生懸命に取り組みたいのにやる気が出ない。不思議なもので、やらなければいけないときほどやる気が出ないことがあります。大人でも子どもでもそうです。そんなときにオススメなのが「具体的なゴールの姿のイメージ」をすることです。ゴールしたときの姿が具体的なほど、やる気がアップします。
こうやって使う!
STEP1 『言ってもらいたい言葉』を話し合う
具体的なゴールの姿を決めるならどんな方法でも構いません。私の場合は友達に言ってもらいたい言葉を話し合わせています。言ってもらいたい言葉を想像しているときは、成功して喜んでいる具体的な姿を想像しているはずです。具体的なゴール像が輝いているほどやる気アップにつながります。
STEP2 『子どもの字』で掲示物をつくる
ゴールしたときに言ってもらいたい言葉が決まったら子どもの字で掲示物をつくります。子どもの字で書くことによって、具体的な目標が子どものものになります。前向きになるイラストを描いてもらうとより効果的です。掲示物は、いつでも見ることのできる、よく見える位置に掲示しましょう。
STEP3 日常からよく見て『振り返る』
具体的なゴールの姿を話し合うと気持ちが高まり、やる気がアップしますが、すぐに忘れてしまいます。そこで、そのときの気持ちを思い出すために掲示した具体的な目標を日常からよく見て振り返らせます。活動の自己評価や教師の話などで使うと、より効果的に振り返ることができます。
スキルに込めた願い
目標に向かって努力し、成長してほしい
具体的な目標をもつ大切さ
当然のことですが、1年間の学校生活を通して子どもを「成長させる」ことが大切です。しかし、実際に教職に就くと、「学校生活を通して成長させる」ではなく、「学校生活をこなす」ことでいっぱいいっぱいになってしまいます。教師が「学校生活をこなす」という考えで取り組んでいては、子どものやる気を引き出すことはできません。 そこで、成長する意識をもたせるために、具体的な目標をもたせることが大切です。1年後どのように成長していたいか? ゴール像を明確にすることで、そこに向かって「成長しよう」という意識をもって生活できるようになります。 具体的なゴール像は、1年後の姿だけでなく、行事ごとに設定しても効果的です。本誌では、運動会後の具体的な姿についてご紹介させていただきました。たとえば、最高学年であるならば、卒業式のときの具体的な姿について話し合うことをオススメします。
運動会後に言われたい言葉
6年生である私の学級では、友達・後輩・大人(親や先生)から運動会後に言われたい言葉について話し合いました。
友達からは「いい思い出になったね」。後輩からは「かっこよかったね。6年生みたいになりたい」。大人からは「最高学年として頑張ったね!」でした。
話し合いの後に私からは、
「運動会は思い出づくりのための行事ではありません。ですが、後輩からかっこいい! と言われたり大人から最高学年として頑張ったね! と言われたりするように努力した結果、いい思い出になる運動会になったら素敵ですね」
と、話をしました。この話し合い以降、運動会の係や応援の練習など、具体的なゴールの姿をイメージして一生懸命に練習に取り組むことができるようになりました。
子どもだけでなく、大人も具体的な目標をもとう
今回は、学級の子どもに対する実践としてご紹介させていただきましたが、具体的な目標をもつことが大切なのは子どもだけでしょうか? そんなことはありません。大人だって目標を持つことは大切です。
私の場合、子どもと別れる3月の時、
「今年の担任が先生でよかった。もう、先生がいなくても大丈夫だよ」
と、言われたいと思っています。
また、この雑誌の原稿は、
「とても参考になった」
「読んだら元気になった」
と、言っていただきたいと思いながら、今まさに書いています。
実際に言われたい言葉を考え、具体的なゴールの姿をイメージすると、私もやる気がアップします。
それでは、読者の皆さんはいかがでしょう?
教員採用試験に合格した時に周りに何と言われたいでしょうか? 初めて担任した子どもたちに何と言われたいでしょうか?
この原稿が、みなさんの学びのやる気につながれば幸いです。
著 髙橋朋彦
1983年千葉県生まれ。千葉県小学校勤務。2019年「実践!私の教育記録」(日本児童教育振興財団主催)特別賞受賞。『ちょこっとスキル』シリーズ(共著、明治図書)『明日からできる速攻マンガ4年生の学級づくり』(日本標準)「教育サークル スイッチオン」「バラスーシ研究会」「日本学級経営学会」などに所属。算数と学級経営を中心に学んでいる。