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キミの願いが実現できる!学級経営ちょこっとスキル①

現役小学校教師の髙橋先生が、子どもたちへの“願い”を込めて編み出した学級経営の「ちょこっとスキル」。これを参考にすればあなたもみんなが居心地良く成長できる学級をつくれます! 隔週金曜日に更新します。


第1回 自然と聴く雰囲気をつくる『いい耳メーター』

◎教師は話しながらメーターを左右に動かします
◎言葉で指導しなくても動かすだけで効果を発揮します

こんなときに使う!

 朝の会や授業中など、教師が話しているのになんだかざわついている……。大切なことを伝えたいのに聴く雰囲気ではありません。「静かにしなさい!」と注意してもいいのですが、雰囲気が悪くなるのが気になります。そんなときこの方法なら強い指導をしなくても『聴く雰囲気』を自然とつくることができます。

こうやって使う!

STEP1 『いい耳メーター』をつくる 
 写真のように、聴いている人数をレベルで表すために、「人数」と「レベル」を書きます。また、レベルを示すマークも一緒につくります。私は、ポジティブなニコちゃんマークにしています。人数とレベルの所には、マジックテープが貼ってあり、マークのつけはずしを簡単にできるようにしてあります。

STEP2 『いい耳メーター』を動かす
教師が話している最中に『いい耳メーター』を動かします。言葉による指導はせずに、動かすだけで十分効果的です。教師は、聴いている人数をなんとなく判断して学級のレベルを評価します。観点は色々ありますが、こだわりすぎると子どもに伝わりづらくなるので、ざっくりとした評価がちょうどいいと感じます。

STEP3 時々、喜んだり悲しんだりして評価する
 動かすだけでも効果的ですが、時々声掛けもします。聴けるようになったら、「先生の話を大切にしてくれてすごく嬉しい!」、なかなか聴けないのなら「なんか、少し悲しいかも」と、子どもと一緒に喜んだり悲しんだりするのがオススメです。ほめたり叱ったりするよりも効果があるように感じます。

スキルに込めた願い

「聴く雰囲気を自然とつくれるようになって欲しい」

『聴く雰囲気』の大切さ 
 学級づくりをするにも、授業づくりをするにも大切にしなければいけないのが『聴くこと』です。
私が若い頃、子どもたちになかなか話を聴かせることができませんでした。話を聴かせるために、話の内容をわかりやすくしたり、「聴きなさい!」と強めの指導をしたり、子どもが静かになるまでじっと待ったりしていました。しかし、なかなかうまくいきませんでした。
 その原因の1つは、『聴く雰囲気』がなかったことです。子どもたちは聴くことの大切さはわかっています。しかし、行動に移せないのです。自然な流れで『聴く雰囲気』をつくることで、人の話を聴けるようになります。

スキルの誕生秘話
 ある年、前年度崩壊した学級を担任することになりました。朝からずっとケンカばかりで、38 人中8人が授業中に立ち歩く……。私が話を始めてもざわつきが止まらず、全く話を聴きません。強めの指導を入れたり、姿勢を正させたりしたのですが、なかなか成果は上がりません。
 そんな中、ある日著名な教育者である多賀一郎先生のセミナーに参加することになりました。その中で、『聴き方の指導』について学ぶことができました。講座に感動した私はすぐに多賀先生の本を購入。その本の中で多賀先生は「『聞く』ことの指導は、『躾』ではない」(多賀一郎著『全員を聞く子どもにする教室の作り方』黎明書房、2012 年)と、語られています。これを読んで私はハッとしました。私が聴ける子にするためにしていたことは、姿勢を正す、目を向けるなどの形ばかりだったのです。『聴くことのよさ』についても指導し、『聴く雰囲気』をつくる必要がありました。そこで、『聴くよさ』を実感させるためにいい耳メーターをつくりました。

いい耳メーターと合わせた具体的な声掛け
 多賀先生の本から学んだことを踏まえて、私はいい耳メーターと合わせて、次のように子どもに声を掛けて指導をしています。みなさんが先生になったときに参考になったらうれしいです。

  1. 聴くことの意味を教える 
    「『きく』には2種類あります。『聞く』と『聴く』です。『聞く』は音として聞こえるだけ。『聴く』は話の内容を理解しながら聴くということです。どちらが成長しますか? 『聴く』ですよね。『聞』には『耳』しかありませんが『聴』には、『耳と目と心』があります。耳と目と心で聴きましょう。」
  2. 聴くよさを実感させる
    「先生は、いい耳メーターというものをつくりました。皆さんの『聴くレベル』がわかるものです。今から先生が何分間か授業をします。『聴くレベルM A X』の状態で聴いてみましょう。」 (何分間か授業する)
    「どうでしたか? 内容がいつもより理解できましたよね。これから、いい耳メーターを使ってみんなの聴く雰囲気をつくっていきましょうね。」

著 髙橋朋彦
1983年千葉県生まれ。千葉県小学校勤務。2019年「実践!私の教育記録」(日本児童教育振興財団主催)特別賞受賞。『ちょこっとスキル』シリーズ(共著,明治図書)『明日からできる速攻マンガ4年生の学級づくり』(日本標準)「教育サークル スイッチオン」「バラスーシ研究会」「日本学級経営学会」などに所属。算数と学級経営を中心に学んでいる。