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キミの願いが実現できる!学級経営ちょこっとスキル⑪

現役小学校教師の髙橋先生が、子どもたちへの“願い”を込めて編み出した学級経営の「ちょこっとスキル」。これを参考にすればあなたもみんなが居心地良く成長できる学級をつくれます! 隔週金曜日に更新します。


第11回 成長を積み重ねる『新学期の目標づくり』

◎1学期の成長を振り返る
◎2学期の目標を立てる

こんなときに使う! 

 夏休み明け、子ども達はボーッとしています。1学期に身につけた習慣や心構えなども忘れてしまうことが多いです。「できていたことができなくなった」と、イライラしてしまいがちですが、落ち着いて対応します。1学期の成長を振り返ってから目標をつくり、2学期の成長につなげます。

こうやって使う!

STEP1 1学期の成長を振り返る
 学級全体で1学期に成長したことを一人一発言で振り返ります。黒板には1学期に成長したことでいっぱいになります。その後、「この中で1位はどれ?」と聞いて挙手をさせて1位を決め、「2位は?」「3位は?」と続けて決め、成長したことベスト3を振り返ります。

STEP2 2学期に成長したいこと=目標を決める
 STEP1と同じように一人一発言で成長したいことを聞きます。1学期に成長したことをもとに、文章を付け加えたり、言葉を改善したりすることで、目標がブラッシュアップされます。こちらもベスト3を決めます。決まった内容は、掲示物にまとめ、いつでも振り返ることができるようにします。

STEP3 目標を使って学級経営をする
 朝の会や帰りの会、授業中など,その目標と関連づけながら教師が話すことで、効果が発揮されます。また、行事前には目標に立ち返って行事の心構えをつくり、行事の後には目標に立ち返って振り返ります。常に2学期の最初につくった目標に立ち返ることで、学級経営の軸にすることができます。

スキルに込めた願い

成長を積み重ねてほしい

常に成長を意識させる

 学校はとにかく忙しいです。気づくと、行事や授業をこなすことで精一杯になってしまいます。すると子供は、一番大切であるはずの「成長すること」について、忘れてしまいます。しかし、この目標があれば、1学期の成長をもとに2学期の成長につなげることができます。また、日々の学校生活や行事が成長の場であることを常に意識させることができます。

教師も常に振り返る

 成長について忘れてしまうのは子どもだけではありません。教師も忘れてしまいます。それは仕方のないことです。ですので、忘れたときに思い出す装置があることが大切です。その装置が、この目標になります。私の場合、教室の背面の高い所に掲示するようにしています。背面の高い所に掲示してあれば、教師は常にその目標を目にすることができます。その目標と関連づけながら子どもに話すことで、子どもへの意識づけをさせることができるのです。

目標をもとにプラスの声かけをする

 子どもたちと一緒に立てた目標をもとに子どもへプラスの声かけをしていきます。例えば、「大人より先にあいさつをする」という目標があったとします。その目標を意識して大人より先に挨拶をする子が出てくるので、そのときにすかさず「おー! 目標を達成しているね! すごい!」と、プラスの声かけをします。さらに、朝の会や帰りの会などで、「今日ね、みんなで決めた大人より先にあいさつを実行している人がいたんだ。先生は嬉しいです」と、全体に広げていきます。やってはいけないのは目標を使ったマイナスな声かけです。目標を嫌いになってしまいます。

「偶数」で時々自己評価をさせる

 目標の意識をさせるには、自己評価も効果的です。自己評価は1~4点で行います。具体的には、4点(できた)3点(まあできた)2点(あまりできなかった)1点(できなかった)です。点数ごとに「どうしてその点数に手をあげたの?」と、何人かに質問します。その後、みんなで意識しようと声かけをします。このとき、偶数の点数で自己評価をさせることがオススメです。例えば3点満点だと、2点が(普通)になってしまい、ほとんどの児童がここに手をあげてしまうので、深まりがありません。4点満点にすることで、できたか、できなかったかの選択をしなければいけないので、考えが深まります。

学級目標との違い

 この実践をしていると「学級目標との違いは何?」という疑問が生まれてきます。学級目標は年間を通して成長させたい姿です。一方こちらは、学級目標をもとにした、中間の目標といえます。ですので、学級目標よりも、より具体的な言葉になります。この2学期の目標の達成を目指すことで、年間の学級目標の達成につながります。学級目標が不要であるという考えもありますが、私は学級目標が大切だと考えています。年間を通した長期の目標である学級目標をもとに、学期ごとの中期の目標、行事ごとの短期の目標などを設定することでより効果的になります。


著 髙橋朋彦
1983年千葉県生まれ。千葉県小学校勤務。2019年「実践!私の教育記録」(日本児童教育振興財団主催)特別賞受賞。『ちょこっとスキル』シリーズ(共著、明治図書)『明日からできる速攻マンガ4年生の学級づくり』(日本標準)「教育サークル スイッチオン」「バラスーシ研究会」「日本学級経営学会」などに所属。算数と学級経営を中心に学んでいる。