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キミの願いが実現できる!学級経営ちょこっとスキル⑥

現役小学校教師の髙橋先生が、子どもたちへの“願い”を込めて編み出した学級経営の「ちょこっとスキル」。これを参考にすればあなたもみんなが居心地良く成長できる学級をつくれます! 隔週金曜日に更新します。


第6回 教師の力を高める『1年間の振り返り』

◎文章で書くと細かく振り返りができます
◎写真があるとより具体的に振り返りができます

こんなときに使う!

 1年間、よかったことやそうでなかったこと、色々なことがあったと思います。この1年間で大きく成長できたはずです。その成長を文字化して振り返ることで、教師の力として定着できます。書くことで気づなかった成長に気づけることもあります。少し大変ですが、すごくおすすめです。

こうやって使う!

STEP1 とりあえず『文書作成ソフト』を開く
 振り返りは効果的なのですが、始めるまでがとても大変です。とりあえず『文書作成ソフト』を開きましょう。開くことで、振り返りに向かう前向きな気持ちになります。当たり前のことかもしれませんが、このちょこっとした1歩が、成長のための大きな1歩につながります。

STEP2 『成果』も『課題』もすべてを振り返る
 『振り返り』と聞くと、課題を中心に振り返ることが多いです。うまくいかなかったことをやめることも大切です。しかし、うまくいったことを更に磨いたり、いつでもできるようにしたりすることも大切です。ですので、『成果』も『課題』もしっかりと向き合うことが、大きな成長につながります。

STEP3 『文章形式』でまとめる
 成果と課題は「箇条書き」でまとめることが多いように感じます。箇条書きは端的でわかりやすくまとめられるのですが、その場の状況や感情の詳細をまとめることはできません。そこで、「文章形式」でまとめます。文章形式ならば改めて状況や感情と向き合うことができるので、新たな発見にもつながります。

スキルに込めた願い

その年の経験をもとに教師として成長したい

経験は大きな財産

 新年度が近づくにつれ、ワクワク感が高まります。それはとてもいいことなのですが、そのワクワク感に流されてしまい、振り返ることを怠ってしまうように感じます。学級担任として過ごす1年間は、教師としての力を高められるとても大きな経験です。新年度へのワクワク感を大切にしつつ、過去を振り返ることにより、ほかには代えられない大きな学びにつながります。よかったこともそうでなかったこともしっかりと向き合って振り返ることにより、教師の力を高める貴重な財産となります。

ある年の振り返り(内容は少し変えてあります)

 次の文章は、ある年に実際に私が行った振り返りです。


 「今年度担任した学年は◯年生であった。この子たちは前年度、かなり難しいクラスであった。校長先生に懇願し、その学年をもたせていただくことになった。そして、その子どもたちと過ごした1年後の3月。子どもたちは大きく成長できた。卒業式では心を込め、力強い呼びかけとビシッとした姿勢で参加することができた。ケンカが起きたときは、自分たちで状況を整理し、解決できるようになった。

◯成果について
①ふわふわ言葉・ちくちく言葉を徹底した。
 とにかく、飛び交う言葉が汚かった。「ばか、あほ、死ね」は挨拶がわりに使う。使う子に罪悪感は全くない。
 4月は「ふわふわ言葉・ちくちく言葉」を話し合い、言葉の順位も決めた。4月はこの言葉をとにかく徹底した。ちくちく言葉を減らすために、教師と子ども同士で声をかけ合った。ちくちく言葉は教師も子どもも許さない。そういう雰囲気作りをした。
②教師が想いを語った。
 今年は、年間を通してとにかく想いを語った。昨年度、教師から叱られ続けてきた子たちである。私も当然叱ることが多かった。だからこそ、朝の会や何もないときには教師の想いを、プラスの感情で子どもたちに伝えようと心がけていた。
③学級目標を大切にした。
 私は学級目標づくりを6月頃に行っている。教師と子どもの想いが共有されるのがこの時期だからである。教師の想いも汲み取ってもらいながら1時間話し合って決めた。
 教師が学級目標を大切にしていることが伝わるよう心がけた。素敵な目標だと喜ぶ。なぜいい目標なのか語る。行事のたびに、トラブルがあったときも振り返る。教師と子どもの後ろにはとにかくいつも学級目標があった。これを意識して生活することで、よくなろうという雰囲気を作ることができた。」


 これはほんの一部でまだまだたくさんありますが、このような形式で振り返っています。今見ても、あの頃のことを具体的に思い出し、実践を振り返ることのできる貴重な資料です。

みなさんは1年間でどんな成長ができましたか?

 子どもに振り返りは求めますが、大人はなかなか振り返りません。しかし、振り返ることが教師としての大きな成長につながります。みなさんは1年間でどのような成長があったでしょうか? 今から振り返る習慣をつけておくといいかもしれませんね。


著 髙橋朋彦
1983年千葉県生まれ。千葉県小学校勤務。2019年「実践!私の教育記録」(日本児童教育振興財団主催)特別賞受賞。『ちょこっとスキル』シリーズ(共著、明治図書)『明日からできる速攻マンガ4年生の学級づくり』(日本標準)「教育サークル スイッチオン」「バラスーシ研究会」「日本学級経営学会」などに所属。算数と学級経営を中心に学んでいる。