教員養成セミナー 定期購読 申し込みバナー

キミの願いが実現できる!学級経営ちょこっとスキル③

現役小学校教師の髙橋先生が、子どもたちへの“願い”を込めて編み出した学級経営の「ちょこっとスキル」。これを参考にすればあなたもみんなが居心地良く成長できる学級をつくれます! 隔週金曜日に更新します。


第3回 自分から進んで取り組む『宿題とテストの連動』

◎テスト範囲を1週間以上前から公開
◎学校で少し取組み、続きを家でさせると効果的

こんなときに使う!

 自ら進んで宿題に取り組ませるには、「宿題をやってよかった!」という経験をさせることが大切です。テスト日とテスト範囲を公開して、宿題とテストを連動させます。宿題に取り組めば、テストの点数は上がるという経験を積み重ねることで、自ら進んで宿題に取り組めるようになります。

こうやって使う!

STEP1 『テスト範囲』をつくる
 小学校は業者テストに取り組むことが一般的です。教科書、ドリル、資料集等、授業中に活用するもののすべてからテストの範囲をあらかじめ把握しておきます。具体的なページを押さえるとより効果的です。授の進度を早めに計算してテスト日を設定することも大切です。

STEP2 『テスト範囲』を公開する
 テスト日と範囲が決まったらできるだけ早く公開します。遅くとも1週間前です。公開したものは、子どもがいつでも確認できる位置に掲示しましょう。私の場合は、背面黒板の月間スケジュールにテスト日とテスト範囲の詳細を書いています。背面黒板がない場合は、画用紙に書いて掲示します。

STEP3 学校で少しテスト勉強させる
 テスト範囲を公開しただけでは取り組めない子もいます。そこで、学校で少しだけテスト範囲の勉強をさせます。そして、続きを家庭で取り組ませます。これを積み重ねることで、自分でテスト範囲の勉強ができるうになります。前号で紹介した「学びの5ステップ」と併せて指導すると効果的です。

スキルに込めた願い

自ら進んで宿題に取り組めるようになって欲しい

「宿題をやってよかったな」と実感させたい

 「うちのクラス、全然宿題に取り組みません」
 そのような悩みをよく耳にします。そのときに我々がよくとる手立ては、「チェックを厳しくすること」です。しかし、いくらチェックを厳しくしてもやってこない子はやってきません。すると、教師にとって宿題は、『やらせること』が目的になってしまいます。宿題をこの目的で取り組ませ続けると、子どもにとって宿題は、『やらされるもの』になります。
 もう一度宿題の目的を考えましょう。宿題の目的は、『自ら進んで学習に取り組む習慣を付けさせる』ことだと考えます。この目的に立ち返ると、「宿題をやってよかったな」と経験させることが重要になります。ですので、宿題とテストを連動させることが大切だと考えました。今までテスト勉強をしていなかった子が勉強をすれば、当然テストの点数は上がります。「宿題に取り組めば、テストの点数が上がる」と、ポジティブな経験を積み重ねることで、自ら進んで学習に取り組めるようになります。

スキルの誕生

 「そういえば,自分は中学校から勉強をするようになったな」
 そんなことにある日気づきました。私の場合、テスト勉強を頑張ればテストの点数が上がるというポジティブな経験を中学校でしていました。そこで、中学校と小学校の勉強の取り組ませ方の違いを考えました。大きな違いは、テスト日とテスト範囲を公開していることだと気づきました。
 小学校でもこの方法を取り入れて宿題と連動させることで、前向きに取り組める子が増えました。

実践をする上でのポイント

⑴ 学校で宿題の練習をする
 「宿題の練習!?」
 と思う方もいるかもしれません。しかし、効果的な宿題の取り組み方をできている子はほとんどいません。宿題をやってよかったと経験させるには、宿題とテストを連動させることに合わせて、効果的な学習方法も教えることが大切です。前に紹介した「学びの5ステップ」で練習すると効果的です。
⑵ それでも「やってこない子」もいる
 テストと宿題を連動させ、方法を教えたとしてもやってこない子はやってきません。私の場合、やってこない子ではなく、やってきた子に着目し、次のように指導しています。
①朝の会で挙手をさせ、やってきた人数を確認する。
②人数を背面黒板に書いておく。
③次の日にまた人数を確認する。
④増えていたら「嬉しい!」と、自分のことのように喜ぶ。(減っていたらすごく悲しむ)
⑤①~④を積み重ねる。
 時間はかかりますが、地道に積み重ねることで、やってくる子に引っ張られてほとんどの子が自分から宿題に取り組めるようになります。しかし、ここまでしてもやってこない子もいます。その場合、その子の気持ちや家庭状況などの背景をよく観察し、その子に合った手立てを一緒に考えることが大切です。


著 髙橋朋彦
1983年千葉県生まれ。千葉県小学校勤務。2019年「実践!私の教育記録」(日本児童教育振興財団主催)特別賞受賞。『ちょこっとスキル』シリーズ(共著、明治図書)『明日からできる速攻マンガ4年生の学級づくり』(日本標準)「教育サークル スイッチオン」「バラスーシ研究会」「日本学級経営学会」などに所属。算数と学級経営を中心に学んでいる。