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キミの願いが実現できる!学級経営ちょこっとスキル⑦

現役小学校教師の髙橋先生が、子どもたちへの“願い”を込めて編み出した学級経営の「ちょこっとスキル」。これを参考にすればあなたもみんなが居心地良く成長できる学級をつくれます! 隔週金曜日に更新します。


第7回 教師の願いを伝える『学級開き』

◎1年を通してどんなクラスにしたいか伝えます
◎子ども達にどんな成長をしてほしいか語ります

こんなときに使う!

 待ちに待った学級開きです! 初めての出会いです! 教師も子どももドキドキワクワクしています。色々な学級開きの方法がありますが、私は「願い」を語っています。何を大切にしているか、1年後にどんな姿になってほしいか語り、一緒に頑張っていこうと、子どもと気持ちを共有していきます。

こうやって使う!

STEP1 どんな先生か知ってもらう
 教師がいきなり「願い」を語っても聞いてもらえません。まずはどんな先生か知ってもらうことが大切です。私の場合、特別に変わったことはしません。好きな食べ物や本、映画やアニメなどを色々と紹介し、子どもと共感しながら話を進めます。学級通信に書くと、より伝わりやすいです。

STEP2 教師の「願い」を語る
 どんな先生か知ってもらい、子どもとの距離が少し近くなったところで教師の「願い」を語ります。教師として大切にしていること、1年後に成長してほしい姿などを語ります。「楽しいことも大変なことも色々あるけれど、一緒に乗り越えて一緒に成長していこう」と子どもに寄り添っていきます。

STEP3 子どもの「願い」を宿題に出す
 教師の「願い」ばかりを語っても押し付けになってしまいます。子どもはどんな「願い」を持っているのか知り、共有することが大切です。私の場合「どんなクラスにしたい?」と聞いてノートに願いを書く宿題を出します。次の日に、その宿題に目を通して、教師と子どもの願いを合わせながら語ります。

スキルに込めた願い

子どもと教師でつくる「願い」で学級をつくりたい

学級開きは旗あげ

 私にとって学級開きは「旗あげ」です。旗をあげて、「みんなでやっていくぞ!」と決意表明をしていきます。学級のリーダーである教師が旗をあげることで、ゴールに向かって進み始めることができるからです。そのゴールを私は「願い」として語っています。

具体的な学級開き

 「願い」をいきなり語っても受け入れてもらえません。そこで、自己紹介で親近感を感じてもらいます。「あいうえお作文」「紙芝居」など、色々な実践から自分に合うものを選ぶとよいでしょう。私は、次のようなシンプルな自己紹介をします。
 〇名前の由来 〇食べ物の好き・苦手 〇趣味
 「先生と同じ食べ物が好きな人?」なんてやり取りをしながら進めると、より身近に感じてもらえます。そして、子どもに親近感を抱いてもらったところで「願い」を語ります。始業式で見つけたよいところを“ 出来事言葉+気持ち言葉” で伝えます。例えば、
 「△さんの歌の表情、ステキだったよ。見ているだけで、うれしい気持ちになったよ。」
と伝えた後で、「願い」を共有します。
 「先生はみんなに、“ 人を大切にできる人” に成長してほしい『願い』があるんだ。今日は、みんなが人を大切にしているところを見つけられて嬉しいです。みんなは、どんな『願い』があるかな? (子供たちに聞く)先生とみんなの『願い』を合わせて、一緒に最高のクラスをつくっていきましょう。」
 子どもの願いは宿題に出し、次の日に学級全体の願いとしてまとめ、共有します。

色々な学級開きがある

 今回は、私の実践を紹介させていただきました。しかし、学級開きには色々な方法があります。被り物を被ったり、興味をひく実験をしたり、くす玉をつくったりして子どもの心をつかむことを大切にしている実践もあります。ご自分に合った学級開きの方法を見つけることが大切です。私の場合は、派手なことをするよりも大切なことを伝えたいと思い、このような学級開きをしています。

願いはみんな違うからいい

 私の願いは「子ども達の将来が幸せなものになってほしい」です。その願いを伝えて、学校に来る目的を子ども達に語っています。勉強をしたり、友達や教師と過ごしたり、行事に取り組んだりすることで、人生を豊かにする目的が学校にあると考えているからです。
 では、この「願い」が果たして正解なのでしょうか? そんなことはありません。色々な願いがあるからいいのです。学級の担任が毎年変わる意味がそこにあると私は考えています。色々な「願い」を持った教師と触れ合うからこそ、子ども達の未来は豊かになっていくと思います。

みなさんの「願い」は?

 みなさんは、どんな「願い」を持っていますか? 私自身、この願いにたどり着くまでに10年かかりました。見つけるのは簡単なことではありません。ですが、自分自身と向き合い、現時点での「願い」を見つけて子どもと共有して学級経営をすると、1年間の学校生活が大きく変わります。


著 髙橋朋彦
1983年千葉県生まれ。千葉県小学校勤務。2019年「実践!私の教育記録」(日本児童教育振興財団主催)特別賞受賞。『ちょこっとスキル』シリーズ(共著、明治図書)『明日からできる速攻マンガ4年生の学級づくり』(日本標準)「教育サークル スイッチオン」「バラスーシ研究会」「日本学級経営学会」などに所属。算数と学級経営を中心に学んでいる。