現役小学校教師の髙橋先生が、子どもたちへの“願い”を込めて編み出した学級経営の「ちょこっとスキル」。これを参考にすればあなたもみんなが居心地良く成長できる学級をつくれます! 隔週金曜日に更新します。
第10回 自分を磨く『成長の振り返り方』
こんなときに使う!
夏休みを例に考えると、休み前の約4ヶ月の間で子どもはたくさん成長します。特にこの時期の成長は1年の成長の土台です。成長したことをそのままにせず振り返って次につなげることで2学期以降、さらに成長をすることができます。写真は教育研究実践家の菊池省三先生の白い黒板という実践です。
こうやって使う!
STEP1 成長を作文に書く
教師が「1学期に成長したこと」とお題を与えて作文として振り返りを書かせます。振り返りは、「私の成長したことは3つあります。1つ目は~、なぜなら~」というような型を与えることがオススメです。書き方は菊池省三先生の成長ノートのご実践を参考にしています。
STEP2 成長したことで黒板を『真っ白』にする
列の先頭にチョークを渡し、1回に1個、制限時間は10分程度のリレー方式で黒板に成長したことを書いていきます。目標は「黒板を白くすること」。ポジティブな言葉で埋め尽くさせます。教師が真ん中にお題を書き、その文字よりも小さな文字で書くように指示をするのがコツです。
STEP3 夏休み明けの目標づくりの参考にする
夏休みの間、白い黒板は消さずにとっておきます。休み前に成長したことは、長い休みの中で少し忘れてしまいますが、黒板を見れば思い出すことができます。思い出した成長を土台にし、新学期の目標をつくります。すると、休みボケがなくなり、一気に成長しようという雰囲気になります。
スキルに込めた願い
成長を積み重ねてほしい
黒板を成長でいっぱいにする
この「白い黒板」の実践をすると、例えば、「男女問わず協力できた」「前向きに勉強できるようになった」などの成長したことで黒板がいっぱいになります。白い黒板が出来上がったときに子ども達は「こんな黒板、初めて見た!」と、とても喜んでくれます。きっと、自分やクラスの成長が嬉しいのでしょう。休み時間に黒板の前に集まり、友達の書いた成長を読んでいます。
黒板にはポジティブな言葉だらけなので、子どもだけでなく、大人である教師も見ていてなんだか嬉しい気持ちになってきます。完成後は、誰が書いた文字なのか判断する方法はありませんが、とてもいいものです。
次の目標につなげる
白い黒板はとても素晴らしいものです。この白い黒板を書くだけで終わってしまうのはもったいないです。次の成長につなげることがポイントなのです。私の場合は、長期休み前に白い黒板をつくり、新学期に見直すようにしています。すると、長い休みで忘れてしまった自分の成長を思い出すことができます。少しネガティブだった気持ちが前向きになり、「よし、次はこれができるようになろう!」と、次の目標をつくることができます。目標の設定と振り返りの繰り返しが、子どもの成長につながります。
学校は子どもを成長させる場所
教職に就き、仕事をしているとどうしても教育活動の「ねばならない」に追われてしまいます。例えば、「授業を進めねばならない」「行事をこなさねばならない」「あいさつをさせねばならない」……。子どもにそれぞれの取り組みをさせることが目的となってしまい、活動が終われば終わりっぱなしの状態になりがちです。
この「ねばならない」に追われているのは教師です。本来なんのために教育活動があったのでしょう? それは、子どもを成長させるためです。ですので、教育活動で行われる取り組みが終わったらしっかりと振り返り、子どもの成長として身に付けさせることが大切です。
「できない」を「できるようにする」
教育活動に取り組むと、「うちのクラス全然できていない……」と、どうしても子どもの「できない」に目が向いてしまいます。子どもは成長するために学校に来ているので、「できない」状態は当たり前です。ですので、できないことをチャンスとして捉え、どうしたらできるようになるか、どうやって力を身に付けさせるかを考えることが大切です。
大人も振り返る
日常生活や日々の授業、学校行事などの色々な教育活動で成長するのは子どもだけではありません。大人である教師も大きく成長することができます。ですので、大人にとっても振り返りは大切です。私の場合、夏休み前、冬休み前、春休み前に自分の成果と課題を振り返るようにしています。読者のみなさんも、振り返りを通して成長を積み重ねませんか?
著 髙橋朋彦
1983年千葉県生まれ。千葉県小学校勤務。2019年「実践!私の教育記録」(日本児童教育振興財団主催)特別賞受賞。『ちょこっとスキル』シリーズ(共著、明治図書)『明日からできる速攻マンガ4年生の学級づくり』(日本標準)「教育サークル スイッチオン」「バラスーシ研究会」「日本学級経営学会」などに所属。算数と学級経営を中心に学んでいる。