ほとんどの自治体で今年(2024年)の夏に実施された教員試験の最終合格発表が行われた一方で、各自治体からは来年(2025年)の教員採用試験に関する情報も出始めています。
ここでは、2025年に実施される教員採用試験の日程や主な変更点など、現時点(10月11日現在)で発表されている情報をまとめてお伝えします。
試験日程:早期化は3県のみ? 大半は今夏とほぼ同日程での実施
2025年実施試験の1次試験の日程については、10月11日現在で34の自治体で発表されているが、このうち、今夏(2024年実施)よりも前倒しで実施するのを発表しているのは島根県、山口県、長崎県の3県のみで、いずれも、文部科学省が1次試験の標準日として設定した5月11日(日)近辺で実施する。島根県と山口県は、2次試験や合格発表等についても、1ヶ月から2ヶ月程度日程を早期化する予定としている。
また、長崎県は今夏に続いて2年連続で試験日程の前倒しを実施し、九州・沖縄エリアでは唯一5月に1次試験を実施する自治体となった。
それ以外の自治体は、基本的に今夏の試験日程を踏襲する形で2025年試験の日程を設定しているが、半分以上の自治体は今夏の試験時に日程の前倒しを実施しており、今回はあえて日程の前倒し(早期化)を見送った可能性も考えられる。
なお、地域別では九州・沖縄エリアでは全自治体、東北や関東、東海、中国エリアでは半数前後の自治体で1次試験の日程が発表された一方、甲信越や北陸、関西、四国エリアの自治体の日程は現時点では発表されていないため、どのような日程となるか、注目される。
2025年実施1次試験の日程を発表した自治体の最近3年間の1次試験実施日
※10月11日現在。赤字の日付は試験日程を前年度実施試験より早期化したことを示す
2025年実施 | 2024年実施 | 2023年実施 | |
北海道・札幌市 | 6月15日 | 6月16日 | 6月18日 |
青森県 | 7月12日 | 7月13日 | 7月22日 |
岩手県 | 7月12日 | 7月13日 | 7月22日 |
宮城県 | 7月12日 | 7月13日 | 7月22日 |
仙台市 | 7月12日・13日 | 7月13日・14日 | 7月22日・23日 |
秋田県 | 7月12日 | 7月13日・14日 | 7月22日・23日 |
山形県 | 7月12日 | 7月13日 | 7月22日 |
茨城県 | 5月上旬 | 5月12日 | 6月25日 |
埼玉県 | 7月6日 | 7月7日 | 7月9日 |
さいたま市 | 7月6日 | 7月7日 | 7月9日 |
東京都 | 7月6日 | 7月7日 | 7月9日 |
横浜市 | 7月6日 | 7月7日 | 7月9日 |
相模原市 | 7月6日 | 7月7日 | 7月9日 |
岐阜県 | 6月14日 | 6月15日 | 7月22日 |
名古屋市 | 6月14日 | 6月15日 | 7月22日 |
三重県 | 6月14日 | 6月15日 | 7月22日 |
島根県 | 5月中旬 | 7月6日 | 7月8日 |
岡山県 | 7月5日・6日・12日・13日 | 7月6日・7日・13日・14日 | 7月8日・9日・15日・16日 |
岡山市 | 7月5日・6日・12日・13日 | 7月6日・13日・14日 | 7月8日・15日・16日 |
広島県・広島市 | 7月中 | 7月13日・14日 | 7月15日・16日 |
山口県 | 5月10日・11日 | 7月6日・7日 | 7月8日・9日 |
福岡県 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
福岡市 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
北九州市 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
佐賀県 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
長崎県 | 5月11日 | 6月16日 | 7月9日 |
熊本県 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
熊本市 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
大分県 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
宮崎県 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
鹿児島県 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
沖縄県 | 6月15日 | 6月16日 | 7月9日 |
試験内容の変更:茨城は「教職教養」を廃止。奈良は英語資格を得点化
現時点で1次試験の実施科目を変更することを発表しているのは、岩手県(論文を廃止し、教職教養と専門教養のみ実施)、秋田県(集団面接の廃止、総合教養から「教職教養」への変更など)、茨城県(教職教養を廃止し、専門教養のみ実施)、奈良県(教科専門試験のうち中学校と高校の「英語」を廃止し、代わりに英語資格〈実用英語技能検定、TOEFL、TOEIC〉を教科専門の得点とする)の4自治体。
また、茨城県では、一般選考とは別にSPI3で受験可能な選考枠を新設し、同枠で200名程度を採用予定としているほか、秋田県は1次試験の会場として、新たに東京都内にも試験会場を設ける。
大学3年生受験:2025年からは岩手、秋田、宮崎でも実施。茨城は日程を移動し全校種へ拡充
2023年実施試験から一部の自治体でスタートし、今夏の試験では全国の41自治体で実施された「大学3年生受験」は、2025年実施試験からは岩手県と秋田県、宮崎県が新たに加わる。
岩手県と秋田県では3年生で1次試験(教職教養、専門教養)を受験し、通過した場合は翌年度の試験では2次試験から受験する。
宮崎県では「大学3年生チャレンジ受験」として1次試験のうち「教職教養」を前倒しで受験し、合格者は翌年度の1次試験の教職教養が免除となる。
また、2025年実施試験のうち「教職(一般)教養」を前倒しで12月中に受験する、いわゆる「前倒し選考」も北海道、札幌市、茨城県、山口県、高知県で12月15日(日)に実施される(※このほかに宮城県では大学推薦による大学3年生特別選考を同日に実施。和歌山県は大学3年生対象の大学推薦特別選考を2025年3月に実施)。
このうち、山口県と高知県は対象を小学校以外の校種にも拡大し、山口県では中学校、高校、特別支援学校の志望者、高知県では中学校と特別支援学校の小学部および中高等部の志望者も前倒し受験ができるようになる。
一方、茨城県は12月実施の前倒し選考(小学校志望者対象)を今年度で終了させて、5月実施予定の1次試験との同時実施に変更し、対象も小学校から全校種に拡大する。
2025年実施試験については、今後も各自治体から試験日程や変更点などが次々と発表されます。これからも最新の試験情報は「教採受かるナビ」やX(旧Twitter)の「The教師塾」「教員養成セミナー」などで、随時お伝えしていきます。